最初の医者で決まる日本の「運不運」医療の現実 どうすれば治療格差をなくすことができるか

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前述の医院でも、休日に診察してもらえたことには感謝していますが、専門領域は整形外科ではなかったのかもしれません。治療を受ける患者側もわかっていれば、「休日なので仕方ない」とある程度納得できると思います。

業務上過失致死傷の要件緩和を

──医師を守るための施策は?

医療行為における業務上過失致死傷の要件緩和です。医師は時にはリスクの高い患者の治療に向き合うことがあります。よかれと思って行った治療において不幸にして患者に重い障害が残ったり、命を落としたりする場合もあります。

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救命救急、産科など医師にとって高リスクの診療科や24時間対応が求められる小児科など過酷な診療科では、医師の疲弊や訴訟リスクにより若い医師の減少が問題となっています。明らかに無謀な手術などを除き、要件の適用除外を設けるべきです。同時に、こうした診療科では診療報酬アップといったインセンティブが必要でしょう。高齢化でも医療費が抑制されているのは、どこかに無理が生じているということです。

──地域的偏在は残りませんか。

その問題には、国公立大学医学部の授業料を免除する代わりに、卒業後20年間の勤務医としての就労義務化や政府、自治体が指定する医療機関での就労義務化を検討すべきです。医学部6年間での育成費用は1億円近いと思いますが、国公立大はほとんどが公費。医師の資格は取ったが、向いていないから別の道、は違うだろうと。

就労義務化は自治医大、防衛医大で採用されています。義務が嫌で他学部に行く人がいれば、本当に医師になりたい人のチャンスが増します。また、勤務医数が充足することで、過重労働により疲弊して医師の退職が相次ぐ、ということも防げるのではないでしょうか。

──成長が前提の制度は医療だけではありません。

医療・介護分野で起こる諸問題は、他分野でも同様に起こるでしょう。読者の方には当事者意識を持っていただきたい。ですから、書店では医療コーナーだけではなく、政治、経済の棚にも置いてほしいですね。

(聞き手 筒井幹雄)

週刊東洋経済編集部
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