最初の医者で決まる日本の「運不運」医療の現実

どうすれば治療格差をなくすことができるか

──制度改革も評価できる?

診療報酬改定、医療施設の機能分化などおおむね妥当だと思います。入院医療費の算定方法に、主要な疾患名を特定し1日当たりの定額点数を決めるDPC(包括払い)制を導入したことは重要な改革だったと考えています。

それまでの各診療行為の点数の足し算で決める出来高払い制は、疾患と診療行為の関係がわからず、「医学はアカデミズムだが、診察カーテンの向こうは違う」といわれていました。2003年のDPC導入で、ある疾患に各医療機関がどういう医療行為をしたかが、全国共通の分類コードで記録、公表されるようになりました。入院医療の一部とはいえ「医療の見える化」が実現し、医療政策にも活用が可能になることでしょう。

「運不運」の医療から脱却するには

──それでも課題は残る。

2000年代初頭から申し上げていたのは、運不運の医療からの脱却。最初にかかった医師の力量で治療結果が左右されるのが実態です。

渡辺英克(わたなべ ひでかつ)/1990年慶応義塾大学経済学部卒業、野村総合研究所入社。1995年よりヘルスケアを担当。2000年に興銀証券に移る。シニアアナリスト兼務。2018年より中央大学大学院客員教授。2015〜2017年、日経アナリストランキングの企業アナリスト総合部門で連続1位獲得。(撮影:今井康一)(撮影)

以前休日に山に登り、手を負傷しました。診療している医院を見つけましたが、標榜する診療科目が整形外科以外に脳神経外科、消化器科とやたらに多い。大丈夫かなと思いながらも受診すると、70代と思われる医師は「大したことはない。犬ならぶらぶらさせて治す」。

しかし、その横でレントゲン写真を見ていた技師が「先生、指、折れていますよ」と。指を固定されたまま数週間経過し、明確な治療方針も示されず、不安になりました。別の医院を受診したところ、「もう少し遅ければ、悪い状態で固まって動かなくなりましたよ」と、思い切り指を曲げられ、絶叫しました(笑)。

──“処方箋”が医師資格更新制。

反発があるでしょうが、医師資格の更新制ならびに医師としての経歴の開示を促進してほしいと考えています。提言の大前提は、患者のために頑張ってくれる医師を守る、です。足切りを求めているのではなく、明らかに不適格な医師にはご遠慮いただきたい、という考えです。医師が自ら研鑽を社会に示すという意味でも、決して悪いことではないと思います。

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