カドカワが武蔵野線「東所沢」に拠点を置く背景 「ところざわサクラタウン」とはいったい何か

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KADOKAWAは、2018年6月に飯田橋の社屋内に、デンマーク・コペンハーゲンにある「noma」で活躍したシェフを迎えたレストラン「INUA」をオープン。予約の取りにくい人気店となっているなど、すでにコトビジネスの展開を進めている。

また、このサクラタウンは、インバウンドの大きな柱ともなっていく想定で、海外観光客の呼び込みと同時に、KADOKAWAのカルチャーと所沢という地を世界に発信していくことも目的としているそうだ。

武蔵野線とはどんな路線?

現在のサクラタウン工事現場周辺は、自然環境豊かな郊外住宅地という風情。東京都心から現地に至るには、電車と徒歩で1時間前後かかる。

一方で、東京目線ではない視点で、東所沢駅のある武蔵野線という路線に改めて注目してみると、千葉、埼玉の船橋、松戸、越谷、浦和、新座や、東京の東村山、小平、国分寺、府中という各市をつなぎ、JR中央線、埼京線、京浜東北線、東武東上線など10路線以上のJR、私鉄と接続している環状線であり、沿線人口も膨大な驚異的なインフラなのだ。

東所沢駅からサクラタウンに続く住宅地には畑も点在する(筆者撮影)

また、所沢市は、狭山市、飯能市、入間市、日高市の県西部の5市で連携を結んでいて、例えば飯能のムーミンバレーパークなどとともに泊まりがけの旅行などでサクラタウンを楽しむプランも考えられる。現在は人通りもまばらなこの土地も、サクラタウンのオープン後は、大きく変化していくことも考えられるのだ。

サクラタウンの隣接地には、所沢市が観光情報・物産館、駐車場などを整備し、東所沢駅からの歩道や、県道からサクラタウンへの道路の拡幅、バス路線の誘致なども進める計画だという。

2020年7月のサクラタウンのオープンでこの埼玉県東所沢がどう変化していくのか、そして出版・総合メディア産業の大手KADOKAWAの試みが出版界や他業界にどんな影響を与えていくのか、今後も注目していきたい。

鈴木 伸子 文筆家

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すずき のぶこ / Nobuko Suzuki

1964年生まれ。東京女子大学卒業後、都市出版『東京人』編集室に勤務。1997年より副編集長。2010年退社。現在は都市、建築、鉄道、町歩き、食べ歩きをテーマに執筆・編集活動を行う。著書に『中央線をゆく、大人の町歩き: 鉄道、地形、歴史、食』『地下鉄で「昭和」の街をゆく 大人の東京散歩』(ともに河出書房新社)『シブいビル 高度成長期生まれ・東京のビルガイド』(リトル・モア)などがある。

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