本連載の「『所沢と多摩』で30代が急減した深刻な事情」でも紹介したように、国勢調査によれば2005年、あるいは2010年から、2015年にかけて郊外住宅地の人口減少が始まっている。
人口減少の多くはまだ高齢者の死亡によるものだが、地域によっては、20~40代の人口が減り始めているところが現れてきた。
逆に中央区などの都心ではその年齢の人口が増えていることも紹介したとおりだ(「中央区は『35歳以上未婚女子』が集う街だった」)。すると、郊外に住んでいた20~40代の相当数が都心に引っ越しているのだと思うかもしれないが、実態は必ずしもそうではない。実は、郊外のほとんどの人々は今と同じ地域に住み続けるし、せいぜい同じ県内で移動する程度なのだ。
今回、「国勢調査」の2010年から2015年にかけての市区町村別転入転出人口の統計を使って、埼玉県を事例に分析してみたところ、主要な自治体のなかだけでも人口が増加しているところも減少しているところもあり、自治体相互の人口の奪い合いがわかりやすく浮き彫りになった。
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