吉祥寺駅JR北口前にある通称ハモニカ横丁(東京都・武蔵野市)。夜になれば、赤提灯のもとに老若男女がひしめき合う。私は、建築史家の倉方俊輔編『吉祥寺ハモニカ横丁のつくり方』の倉方氏によるインタビューの中で、吉祥寺のハモニカ横丁的なものが今後、吉祥寺ではないどこか別の街に展開していく可能性を問われた。その際、「いわゆる繁華街や駅前商店街ではない、郊外住宅地の中にハモニカ横丁的なものが必要なのではないか」と答えている。
今後、郊外住宅地が高齢化していくこと、定年後に郊外で起業したり、NPO活動を始めるような人たちが増えるかもしれないこと、現役世代でも、在宅勤務をする人が増えるであろうことなどを考えるならば、もっと楽しく充実した郊外生活が重要になるはずである。
郊外住宅地は「昼間の街」だ
そもそも、郊外住宅地は昼間の世界を重視してつくられた。子どもを育てること、そのために母親が安心できることが重視されたので、学校、緑地、公園、歩道の整備、あるいは歩道と車道の分離などが中心となり、商業については、昼間や夕方の食事の準備のためのスーパーなどの小売業と、子ども連れで行きやすいファミリーレストランなどが中心となった。
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