郊外住宅地には「夜の暮らしの充実」が必要だ 「月1回・夜9時まで」開かれるスナックの正体

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「スナックを始めるにあたっては、住宅地であることを考慮して、イベントは午後6時から9時までという縛りを設けました。

近隣住民から、SNSを見て遠方からやってきた人まで、さまざまな人が一緒に飲み食いをする(撮影:梅谷秀司)

われわれ以外にもイベントをやりたいという声が上がり、もうすぐ定年の男性によるバー、40代女性による女子会的な飲み会、それから50代女性によるスペインバルなどが不定期で開かれます。

先日開催したスナックでは、友人が企画したミャンマーの映画と料理を楽しむ会とか、知人の作家がロックとジャズのDJをするイベントを開催しました。とくにDJイベントを開催したときは、カサコ史上最大の集客人数で40人以上が集まりました。床が抜けないかとヒヤヒヤしました(笑)」

「スナックでは、プロではないがアマチュアでもない、『ゼロ以上1未満』と呼んでいるのですが、まあセミプロ的な人がイベントをしてくれるのがよいと思っています。地域や友人のつながりで、ある音楽に詳しいとか、ある国や地域に詳しいとか、おいしい料理が作れるとか、そういう能力を持った人はたくさんいます。

取材当日のスナックで料理を担当したのは、料理好きの会社員女性。カサコでは、プロではないが、素人でもない人がイベントを運営(撮影:梅谷秀司)

15人か20人くらいなら集められるが、ちゃんとした会場を借りるほどではないし、かといって、公民館の会議室ではやりたくない、という人がたくさんいる。カサコという空間の力が、そういう人の『やりたい!』というテンションを上げると思っています。

だから、逆に公民館の会議室でやっているような種類のイベントはカサコではあまり集客できないのです。もう少し楽しいことが地域の人に求められている。SNSの『インスタグラム』でアップしたくなるイベントというか。少しおしゃれで文化的な感じのものですね」

中高年の男性がふらっと寄れる雰囲気が大事

「夜のイベントをしていると、犬の散歩をしている中高年の男性が毎回立ち寄ってくれたりします。カサコは通りから窓越しに中が見えるつくりになっているので、ちょっと気になると入ってきやすいのです。女性は地域の人間関係を築いている人が多いですが、男性はそうでもないので、男性が参加しやすい雰囲気づくりも大事だと思います。

1年近くやってきて、イベントを開催した人も多少はおカネになる、カサコとしても人件費以外は利益が出るようになりました。人件費も出せるくらいになれるといいなと思います」

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