郊外住宅地の中に求められるのは、駅前商業地にあるような商業主義ではない。それは本物の飲食店でやればいい。かといって、行政やいわゆる市民団体が行う市民主義でもない。それは公民館でやればいい。
住宅地の飲食店は、「趣味開き」がちょうどいい
商業主義と市民主義の中間。あえていえばコミュニティビジネス的なものだが、それも言葉としてはしっくりこない。趣味の延長でもあるが、自分の部屋にこもって趣味に耽溺(たんでき)するのではなく、それを人に公開して楽しみ、少しは稼ごう、という意味では一種の住み開き。「趣味開き」とでも言っておこうか。
実際、スナックとみとで料理を作る人は、いつかは自分の店を開いてみるのもいいかな、といったくらいの気持ちの普通の人が担当しているという。鳩山ニュータウン(埼玉県・比企郡)にも2017年7月以降に、ユニークなスナックができるという話もある。それも素人によるものだ。楽しみである。
最近は若い世代にスナックブームが起きつつあり、若い人が店主をつとめる「ニュースナック」も増えているという(玉袋筋太郎『スナックの歩き方 』イースト新書Q 2017年)。
店主がプロではなく、副業や趣味であることも多い。ニュースナックが、都心の繁華街だけでなく、郊外のニュータウンにも増えたほうがいい。
2016年に私は多摩ニュータウンを設計した方の話を聴く機会があったが、彼は多摩センター駅前の大通りに屋台をたくさん出したいと言っておられた。あの人工的なニュータウンを設計した方が、そのように言われたことに私は感銘を受けた。ぜひとも土曜日の夜あたりに多摩センター駅前に無数の屋台が出るようにしてほしいものだ。
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