「引きこもったまま出馬し落選」41歳男性の半生 「思い立ったら失敗しよう」くらいがいい
リサイクルショップなどではスニーカーが2000円で売っていますが、品番を頼りにネットで検索してみると8000円で取引されていることがありました。
リサイクルショップで仕入れてネットで売ったら6000円の儲けになりますよね。セドリを始めたときは、ひきこもりの状態だったので、社会と接点を持つためのリハビリとしてもけっこう役に立ったなと思います。
セドリを教えてくれたのがおもしろい人で、ひきこもり向けの居場所に、空っぽのスーツケースで来るんです。俺が驚いて「何これ?」と聞いたら、「帰りにリサイクルショップに寄って、仕入れをしながら帰る」と言う。
「うわぁ、めちゃくちゃカッコいい」と思いました。転売業なんてたいへんで、俺にはとてもできないと思っていたけど、やってみたら意外とかんたん。リサイクルショップのセールの日を狙って、たくさん買って帰るんです。
自転車で何十キロも移動するから、たまに筋肉痛で動けなくなりますが(笑)。
いつかやってみたいのが「遊牧民セドリ」。旅行をしながら安いものを買って、自宅にダンボールで配送するんです。そうしながら長く旅を続けていく。ちょっとした冒険みたいな感じに憧れています。
――「正社員になるべきだ」というプレッシャーを、感じることはありませんか?
今も昔も、まったくないです。20歳をすぎたころに経営コンサルタントの大前研一さんに影響を受けたせいかもしれません。
大前さんの本を読んで俺はすごく鼓舞されました。世界中で起業する人がいる時代に、正社員がどうのこうのなんて、「なんてスケールが小さいんだろう」って。
横道にそれたら生きやすく
もっと言えば正社員へのプレッシャーを受けないために、みずから横道にそれているのかもしれません。
会社員生活をしていると、世間からあれこれと評価を受けてしまう。だけど選挙への出馬とか、「遊牧民セドリ」とか、人と比べられないことをしていると、土俵がちがうので評価ができない。
世間と自分の生き方のレイヤー(層)を、別のものにするという感じです。ちがう土俵で生きて、人生の住み分けができるようになってから、俺は少しだけ生きやすくなったと思います。
(聞き手・酒井伸哉)
さとう学(さとう・まなぶ)/小学3年生のときに不登校になり、20年以上ひきこもる。また、ひきこもり支援のために市議選に立候補した。「note」
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