「引きこもったまま出馬し落選」41歳男性の半生 「思い立ったら失敗しよう」くらいがいい
――40歳をすぎた今は、楽観的になりましたか?
いやあ、どうだろう。今でも、調子が悪いときは1日に20時間くらい横になっているときがあります。夢かうつつかの状態がずっと続いているような感じです。
不登校の時期も合わせると、俺はたぶん23年~24年くらいひきこもっている。人生を損していると思うこともありますが、「あきらめれば道は開ける」とも思っています。
失うものがないから、それだけ行動ができる。たくさん行動していたら、確率論的にも、何かにつながる可能性が高くなっていきます。
何もない一日がくり返されるというのは、俺にとってはとてもきついことです。じっとして一日がすぎていくよりも、なんらかの活動をしていれば、人生の糧になるなと感じています。
失敗しても、「あ、これは話のネタになるな」と思えたら強いですよね。だって自慢話よりも失敗話のほうがウケるでしょ。
選挙のことも、すごく疲れたけど、「ひきこもりが立候補した」こと自体はネタになりました(笑)。
ミクロ(微視的)で見れば出馬は失敗だけど、マクロ(巨視的)で見れば成功と言える。一回の行動よりも、人生全体で見られたらいいのだと思います。
なので「あきらめれば道は開ける」と思っている真意は、一日というミクロではあきらめるけれど、一生というマクロではあきらめない、という感じかな。
――ミクロな話になりますが、今はどんな毎日を送っていますか?
ひとつは、手のひらサイズの「豆本ドールハウス」づくりをしています。ブログで俺の記事を読んでくれた人が、ネットで声をかけてくれて、制作を手伝うようになりました。
不定期で仕事場に出かけていき、内職をする感じで、お給料も出ます。インスタグラムのおかげで有名になって、世界中の人が買ってくれるから、あらためて「IT革命はすごいな」と思った。
仕事にかぎらず、生活の軸になるものがあると、ペースがつくれるのですごしやすくなります。完全に自由だと、行動する力も起きてこないから、「ゆるやかな強制が必要」というのが俺の持論。
小さく稼ぐ
それと、居場所で知り合った人との縁をきっかけにして、数年前から「セドリ」をやるようになりました。
セドリというのは、衣類や本などを安く仕入れて、別のところで売る転売業のこと。古物商の許可証もとっています。意識してみると、けっこういろいろ見つかるんですよね。