自然災害後の住宅復旧がなかなか進まない事情 住宅の屋根補修にかなり時間が必要な理由

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「ローリングストック」のイメージ(筆者撮影)

収納を見直すことも、災害への備えとなる。具体的には、買い足しと消費を行いながら、1週間ほどの備蓄をつねに行えるように、収納の量だけでなく使い勝手までに配慮した「ローリングストック」という考え方の収納をすることだ。

この収納スタイルなら、収納しているものは普段から口にしているものなので、幼い子どもにとっても負担が少ない。

また、水や食料があれば、プライバシーの確保などの面でストレスを感じることが多い避難所での暮らしを避けられる可能性がある。

究極の防災住宅「ZEH+R」

さらに、災害対策を徹底したいという方には近年、「ZEH+R」という住宅のスタイルがある。これは現在、普及タイプとしては究極の省エネ住宅「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(=ZEH)」に、蓄電池や貯水タンクなどを組み合わせたものだ。

「R」はレジリエンス(Resilience)のことで、これは「回復力」「復元力」などを意味し、住宅の場合では、災害が発生した場合に迅速な復旧できる力を有する、というイメージになる。蓄電池はエネルギー、貯水タンクは飲み水の確保ができるため、「ZEH+R」なら被災後にも自宅で日常に近い暮らしができる可能性が高まるというわけだ。

貯水タンクのイメージ。床下に設置するため場所を取らないものもある(写真:セキスイハイム提供)

もっとも、住まいは敷地条件や建物の大きさ、何より予算の関係から災害対策としてできることは限られてくる。とくに、若い方の住宅取得ではそうなりがちだ。ただ、万が一のための備え、「自助」をより可能にすることができることを知っていただきたいと考え、上記を紹介した。

なお、被害が非常に広いエリアに及ぶ可能性が高いとされる南海トラフ地震では、援助物資の配送が滞ることが予想されるため、水や食料などの備蓄について1週間分以上が望ましいとの指摘もある。国や企業などによる「公助」に期待できないということだ。

日本は災害大国であり、東日本大震災のような大災害を乗り切ってきた経験を豊富に持ち、対応するノウハウに優れた国というイメージがあるが、今後はそうも言っていられない状況なのである。

田中 直輝 住生活ジャーナリスト

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たなか なおき / Naoki Tanaka

早稲田大学教育学部を卒業後、海外17カ国を一人旅。その後、約10年間にわたって住宅業界専門紙・住宅産業新聞社で主に大手ハウスメーカーを担当し、取材活動を行う。現在は、「住生活ジャーナリスト」として戸建てをはじめ、不動産業界も含め広く住宅の世界を探求。

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