成田空港「足止め」なぜ回復に時間を要したか 鉄道・道路不通でも滑走路を開けた理由は?
9月8日深夜から翌9日午前にかけて関東地方を直撃し、房総半島をはじめ各地に大きな被害をもたらした台風15号。成田空港は、アクセス交通の遮断によって「陸の孤島」と化した。
滑走路は9日の朝9時に閉鎖を解除したものの、東京・千葉方面を結ぶ鉄道の運転見合わせ、道路の通行止めに伴うバスの運休により、多くの人が足止めされた。8日13時半の時点で約5200人だった滞留者は、一時最大で約1万7000人に達し、同日夜は約1万3000人が空港内で一夜を明かした。
筆者も9日昼過ぎから夜にかけて成田空港に足止めされた。当日の成田空港の様子と周辺の交通機関の復旧状況を振り返り、空港の自然災害時の課題を考えてみたい。
夕方には復旧すると思ったが…
同日、筆者が成田空港に着いたのは13時ごろ。友人数人との海外旅行帰りで、あとは東京方面に戻るだけであった。鉄道運行状況や高速道路情報などを見ると、公共交通機関で空港から外に出る手段はなかったが、この時点ではそれほどの焦りはなかった。倒木や設備点検に時間がかかっているものの、夕方までにはJRも京成も運行を再開、高速道路も通行止めが解除されるだろうと思っていたのだ。
そこで、比較的空いていそうな第3ターミナルのフードコートに待機場所を確保して情報を収集することにした。だが、入ってくる情報は運行再開の見込みはなさそうだという内容が多く、それどころか今晩中に都内に帰れるのか懸念される材料ばかり出てくる。14時過ぎにはJR成田線の終日運休が決まり、あとは京成とバス頼みとなったものの、京成も平常時に本数が多い本線は終日動かない気配が濃厚となっていた。
すると残るはバスと京成のスカイアクセス線となる。しかしながら、スカイアクセス線経由の「スカイライナー」は終日運休になりそうだという情報が入った。残るはアクセス特急とバスのみだ。
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