JR東、株主総会で出た「トラブル」の質問と回答 輸送障害の説明は質疑の前、「荒れず」に終了

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JR東日本が今年1月に公開した山手線の自動運転試験列車の様子。株主総会でも説明があった(撮影:尾形文繁)

JR東日本の株主総会が2019年6月21日に開催された。この日はJR東海とJR九州の株主総会も開催され、とくにJR九州では、外資ファンドが自社株買いなどの株主提案を行ったという点で世間の大きな注目を集めた。

一方で、JR東日本の株主総会は多方面にわたる事業展開を行っているゆえに、JR上場4社の中でもとりわけ話題性は高いはずだが、今年の株主総会は、荒れることなく穏やかに終了した。株主から厳しく問いただされそうな話題については、株主との質疑応答が始まる前に「事前質問への回答」という形で、説明してしまったことがその要因として考えられる。

最近では、年末やゴールデンウィークといった繁忙期に大規模の輸送障害(鉄道運転事故以外で車両や設備の故障や係員の取り扱いミス、災害などで列車が運休、または30分以上遅延した状態)が発生し、鉄道網が大きく混乱したことは記憶に新しい。総会の場で、会社側は「社会的影響の大きい時期にお客様に多大なご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げる。原因を究明し再発防止に向けた取り組みを着実に実施していく」と陳謝した。

輸送障害の原因と対策は?

会社側からは、過去半年に起きた主な輸送障害の原因と再発防止策について説明した。その内容は以下のとおりである。

2018年12月30日:東北新幹線が東京駅で故障し運行不能に
原因:車両床下の電線の一部が断線したため緊急ブレーキが作動し緩まなくなったことによるもの。
対策:同様の電線を使用している車両については定期検査において回路の電圧測定を実施。また、緊急ブレーキが緩まない場合の応急措置方法を見直し関係社員への教育を行う。

 

2019年1月22日:信越線新潟変電所で出火し、その影響で信越線が運休
原因:変電所の機器の更新工事の作業員が架設ケーブルを引き抜く際に誤って端子を電気が流れる部分に接触させ、ショートしたことによるもの。また、隣接する変電所からの電力の供給停止が遅れたため、電気が流れ続け火災が発生。
対策:同様の作業はすべて停電状態で行うことを原則とする。今後電力供給を停止しやすい設備への改良を進めるとともに、確実に送電を止める訓練を行う。
次ページ今年も2月と4月に大規模な輸送障害が
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