JR東、株主総会で出た「トラブル」の質問と回答 輸送障害の説明は質疑の前、「荒れず」に終了

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2019年2月25日:中央線飯田橋―水道橋間でケーブル火災が発生し、中央線快速の東京―新宿間と、中央・総武線各駅停車の三鷹―西船橋間が運休
原因:工事終了後に線路脇に仮置きしていた火花の飛散を防ぐためのシートに火種が残っていた。
対策:火花の飛散を防ぐためのシートは作業終了後に火種が残っていないことを確認したうえで、ケーブル付近等に残さないこととする。また、被害の拡大を防止するため、ケーブルを燃えにくくするなどのハード対策の範囲を拡大する。

 

2019年4月28日:上越新幹線が上毛高原―浦佐間で停電し、東京―新潟間の上下線で運転見合わせ
原因:変電所内の制御装置が故障し、変電機器の誤った故障情報が発信されたため。
対策:制御装置が故障した際は設備全体に波及しない装置、プログラムの構築と、制御装置の電子部品について交換サイクルの見直しを検討する。また、新幹線に特化した電力関係の総合技術者を育成し、マニュアルを整備し関係社員への教育を徹底する。

事故件数は減っているが…

わざわざ輸送障害について説明した理由は、原因を究明して再発防止策をきちんと講じたことを株主に説明したいという意味合いもあるだろう。確かに、再発防止策を講じたことで同じトラブルが繰り返される心配は減ったが、同社の鉄道網は広範に及び、思ってもみないトラブルが起きる可能性もある。あらゆるトラブルを完全に押さえ込むには相当な労力が必要となる。

2017年度におけるJR東日本の鉄道運転事故は160件。会社が発足した1987年度の376件と比べると、大きく減少している。しかし、減少した理由の多くは踏切障害事故の減少によるもので、鉄道人身傷害事故は近年むしろ増加傾向にある。また、輸送障害の件数は2017年度で1359件と高水準だ。

これ以外にも、線路上に物が投げ込まれたり、車両の一部が壊されたりするといった鉄道妨害に関する説明もあった。鉄道妨害の発生件数は、昨年5月の約210件をピークに、現在1カ月に約40件程度まで減少したという報告もあった。社員・警備員による巡回強化や警察や警備員との連携が奏功した、なお、労使関係との関連性が疑われる事象はないという。

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