「タイガース愛」を超えた株主総会の質疑応答 企業統治や株主利益を問う内容が目立った

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阪神タイガースの本拠地、甲子園球場。阪急阪神HDの株主総会では毎年タイガースに関する質問が多い(写真:和音/PIXTA)

阪急阪神ホールディングスの定時株主総会といえば毎年、株主から阪神タイガース球団に関する質問が出されることで知られている。

はたして監督の采配や選手の成績は株主総会の場にふさわしいのだろうか。定時株主総会では、当該事業年度の決算や事業内容を報告したうえで、剰余金処分、取締役の選任などが議題となる。会社から議案について説明がなされた後、株主と役員の間で質疑応答があり、議案が採決される。

会社の事業が利益を生み、剰余金処分につながるとすれば、球団運営は阪急阪神HDの利益を左右する要因といえるので、球団に関する質問は的外れではない。

「球場でイカ焼きを」

問題は阪急阪神HDの株主に熱狂的なタイガースファンが多いことだ。阪急阪神HDは鉄道、不動産、ホテル、旅行、国際輸送、さらに宝塚歌劇団など多岐にわたる事業を行っているが、株主総会で球団に関する質問ばかり続くと、ほかの事業に関する質疑応答を行う時間がなくなってしまう。

このため、6月13日に大阪市内で行われた阪急阪神HDの株主総会では、質疑応答の時間を2つに分けた。最初に都市交通事業・不動産と経営全般に関する質疑応答を行い、その後でそれ以外の事業と経営全般に関する質疑応答を行う。簡単にいえば、阪神タイガースに関する話題は後半にまとめたことになる。

前半の質疑応答では、鉄道の計画運休や自社株買いの方針などの質問が出て、いよいよ後半に。宝塚歌劇、旅行、ホテル、国際輸送など多岐にわたる質問が出てもおかしくないが、最初の質問はやっぱり阪神タイガースだった。

「阪神戦はすべてサンテレビで中継をしてほしい。球場でイカ焼きを販売して欲しい。焼き鳥のタレの味が濃いのはビールをたくさん飲ませるための作戦なのか。最後に首脳陣以下、全員がかつての背番号40番、ラインバック選手の精神を心に刻んでもらいたい」

この質問に対して、阪神電鉄の百北幸司常務の回答は「すべてのご意見を貴重なご意見と考え、球団に持ち帰り、話をしておく」というごく一般的な発言にとどまった。

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