「タイガース愛」を超えた株主総会の質疑応答 企業統治や株主利益を問う内容が目立った

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この質問に対しては、阪神タイガースの藤原崇起オーナーが、「1人ひとりの選手はミスをしているが、今のチームはお互いにミスを補完しており、選手の間に一体感が出てきた」と説明。「これからも最後まで応援していただければ、皆さんの応援が選手に伝わり、選手もミスをなくして皆さんの理想のタイガースになると確信している」と、株主の応援を呼びかけた。

阪神タイガースに関する最後の質問者は、「ドラフト問題の起源は江川問題にある。世間を騒がせた江川問題からどんな教訓を得たのか。その教訓が現在のドラフトにどのように生かされているのか」という難しい問いを投げかけた。

これに対する百北常務の回答は「チームをみて戦力的に不足している部分を補強しているので、どうぞよろしくお願いします」というものだった。

この株主からはもう1つ、「コーポレートガバナンスは大切だ。阪神球団の社外取締役過半数を実現してほしい」という意見もあった。

この意見に対しては、藤原オーナーが回答。「阪急阪神HDや阪神電鉄には社外役員がいる。球団職員にもいろいろな経験の持ち主がいる。こういう人たちが意見を戦わせて新しいタイガースを模索しており、ハイブリッドな球団経営はできている」と説明、理解を求めた。

洗練されてきた質疑応答

以上、4人の株主による質問とそれに対する回答から感じられたのは、阪神タイガースに関する質問を後半にまとめたことで進行がすっきりしたこと、そして質疑応答の内容が洗練されてきたということだ。今回も「イカ焼き販売」「江川問題」など、回答に窮する質問は出たが、一方で株主利益の観点からドラフト問題に踏み込んだり、球団のコーポレートガバナンスを問いただしたりする質問は、単なるタイガース愛だけではなくほかの事業でも当てはまりそうな内容だ。

また、それに対する会社側の回答も、「貴重なご意見として承ります」といった定型的な回答だけでなく、角議長が木浪選手の例を出すように促したり、藤原オーナーが「皆さんの応援が選手に伝わればミスがなくなる」と、ファンと選手の一体化を呼びかけたりと、株主との「対話」が成立していた。

来年の株主総会でも阪神タイガースに関する質疑応答はあるだろう。今回の流れを生かして、株主と会社側との間での今回以上に実り多いやり取りを見てみたい。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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