大阪で次々生まれる「新路線」は何をもたらすか 「鉄道勢力図」塗り替えへ、各社の思惑が混在
大阪周辺の新線計画が続々と進んでいる。
最近の目玉は、3月16日に開通したJR西日本「おおさか東線」の放出(はなてん)─新大阪間(通称「北区間」)だ。おおさか東線は、久宝寺(きゅうほうじ)─放出間(通称「南区間」)が2008年から営業しており、これで全線が開通することになった。
おおさか東線は、もともと城東貨物線という名称で、貨物列車のみが走る路線だった。大阪府東部を南北に走り、沿線には住宅地が広がる。旅客列車を走らせてほしいという地元の要望は強かった。
そこで複線化・電化したうえで旅客線化することになり、1999年に南区間の工事が先行してスタート。南区間の開通直前に、北区間でも工事が始まった。
“鉄道空白地帯”に新駅
北区間には4つの新駅が開業した。このうち南吹田駅と城北公園通駅があるエリアは、これまで最寄りの鉄道駅まで徒歩20分以上かかる“鉄道空白地帯”だった。
とくに南吹田駅は、付近を走るバス路線もなかった。開通後は新大阪駅までわずか1駅という“一等地”に。数年後には、見違えるような発展を遂げているかもしれない。
おおさか東線には、このほかにも重要な役割がある。それは、ほかの鉄道路線との連携だ。同線は、大阪市中心部から放射状に延びるほかの路線と多く交わっており、その数は13にも達する。これまで、これらの路線への乗り換えには、いったん都心に出て、大阪環状線などを使う必要があった。
今後はおおさか東線を利用することで、時間短縮につながるのに加え、混雑するエリアを通る必要がなくなる。
さらに、新幹線駅から奈良へ向かうルートとしても有用だ。現状、新幹線の京都駅から奈良へ向かうには、JR奈良線か近鉄京都線を使う必要がある。だが、JR奈良線は単線区間があって利便性が低く、“身内”のJR東海ですら近鉄利用を勧める状態だ。
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