大阪で次々生まれる「新路線」は何をもたらすか 「鉄道勢力図」塗り替えへ、各社の思惑が混在

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北梅田駅は、3月開業時のおおさか東線に含まれていないが、乗り入れ可能な構造となっている。JR西日本は、乗り入れについて「現時点で検討していない」とするが、念頭に置いていることは間違いないだろう。

大阪駅から見た「北梅田駅」の建設現場(筆者撮影)

北梅田駅には「なにわ筋線」も乗り入れる。大阪府・大阪市などが、1980年代から構想している路線だ。2004年には国土交通省が答申の中で「整備が望まれる新規路線」としたものの、建設費の高さがネックとなり、計画はなかなか進まなかった。

だが、急増する外国人観光客などの追い風を受け、ここ数年で議論が急進展。2017年5月に、2031年春の開業を目指すとした計画概要の答申が発表された。

この答申では、北大阪急行電鉄(北急)の千里中央─箕面萱野(みのおかやの)間、大阪モノレールの門真市─瓜生堂(うりゅうどう、仮称)間も盛り込まれた。前者は2020年度末、後者は2029年の開業を目指し、事業が進行中だ。とくに北急は大阪市中心部まで直結する路線であり、箕面市域からの通勤事情が格段に改善するに違いない。

大阪の南北を結ぶなにわ筋線

なにわ筋線に話を戻そう。2018年2月、大阪市が公開した環境アセスメント資料により詳細なルートが判明した。これによると、北梅田駅を出た同線はなにわ筋の下を通り、中央大通付近に建設される西本町駅(仮称)の南側で南海とJRが分離。JR線は南進してJR難波駅に至る。

一方、南海はJR線の下を南東へ進み、近鉄線大阪難波駅と大阪メトロ四つ橋線なんば駅に挟まれた場所に建設される新難波駅(仮称)へつながる。そこからは阪神高速道路の下を通り、今宮戎(いまみやえびす)駅の西側で地上へ出て、新今宮駅で南海本線と接続する。

なにわ筋線の開通により、南海にとって悲願でもあったキタエリアへの乗り入れが実現する。

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