「タイガース愛」を超えた株主総会の質疑応答 企業統治や株主利益を問う内容が目立った

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2番目に質問に立った株主は「どうしても言いたいことがある」として、始発の新幹線で東京からやってきたという50年にわたる阪神ファン。

大阪市内で開かれた阪急阪神HD株主総会(記者撮影)

「阪神が50年間で3回しか優勝できなかったのはドラフトが下手だから。とくにドラフト2、3位の指名が下手。前評判の高い即戦力選手を指名できるのに、なぜと思う選手ばかり指名している。“秘密兵器”のような選手を指名して、秘密のまま終わった選手がどれだけいたか。他球団のスカウトは腹を抱えて笑っている」

「ドラフトで笑いを取る必要はない。1位指名はずば抜けた才能を持つ選手を指名してその才能に懸けてもいいが、2、3位指名は遅くとも2年後には1軍に定着する選手を指名して欲しい。スカウトが悪いのか、編成のトップがへそ曲がりなのか、親会社を含むフロントに正しい判断をできる人がいないのか。原因を究明して手を打ってほしい」

鉄道はミスないが球団は…

会場から拍手が湧くほど的を射た厳しい質問に対し、百北常務は「貴重なご意見として承ります。補強ポイントに合致した選手を監督や球団本部長が検討して採りに行っています」とやはり紋切り型の回答。

すると、株主総会の議長を務める角和夫・阪急阪神HD会長が百北常務に、「昨年のドラフトの考え方は?」と促した。百北常務は、「守る野球、センターラインを重視する野球ということで、1位、木浪選手が活躍している(編集部注:ドラフト1位は近本光司外野手、同3位は木浪聖也内野手)」と説明。社会人野球出身の近本、木浪両選手はどちらも今シーズン活躍している。昨年のドラフトがうまくいっていることを株主に示した形となった。

阪神タイガースに関する3番目の質問者として、マイクを握った株主は、「阪神ファンだからではなく、株主として株主利益のために申し上げたい」。

その内容は「都市交通事業(鉄道など)についてはミスがないように細心の注意を払っているのに、球団は12球団で最も失策が多い。都市交通事業のようにミスをなくすべきではないか」という辛辣なものだった。

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