成田空港「足止め」なぜ回復に時間を要したか 鉄道・道路不通でも滑走路を開けた理由は?

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そして最後に、公共交通機関が寸断された中で空港の滑走路を開けていたのはなぜだったのだろうか。成田国際空港会社によると「成田空港で乗り継がれるお客様や成田空港および成田空港周辺の駐車場をご利用のお客様もいる。また、航空会社の次の日の機材繰りの都合もある。そのために滑走路は開けていた」という。

ANAやJALに聞くと、両社ともに航空機は成田空港行きであれば原則として成田空港に着陸させるといい、そのほうが機材繰りや乗務員繰りへの影響も少なく、到着・出発の旅客への影響を最小限にとどめられるためだという。

ちなみに9日に成田空港を発着するJALの国際線は出発が28便、到着が5便欠航、ANAの国際線は出発が27便、到着が14便欠航となった。

欠航事由としては主に到着便遅れや機材や乗務員の手配によるもので、「18時以降集中して欠航し、機材と乗務員繰りが大きな理由となった」(JAL)ということであった。

今回の教訓を今後の異常時対策に

総合的に見ると、各事業者や施設管理会社は災害の復旧に対し、最大限の努力をしたことがうかがえる。ただ、1つ気になることがあるとすれば、空港から出られない状況下で滑走路が閉鎖されず着陸が続行されたことだ。

空港会社の広報担当者は、筆者の疑問に対して「今回の対応が最適だったかどうか今後精査、検討を行い、その結果新たな施策を行うことになれば順次リリースを行う」と答えた。もちろん、今回の件で一概に責めることはできないが、今回の事態を受けた施策が検討されることは期待したい。

成田空港周辺の被害が甚大だったのに対して、羽田空港や茨城空港周辺は台風の影響が少なかった。ただ、「成田空港を閉めたとしても羽田空港の発着枠に余裕はないため、降りられなかったのではないかと考えている」(空港会社広報)という。

【2019年9月13日18時05分追記】初出時、空港会社のコメントに取材時のコメント内容と異なる点がありましたので、表記のように修正しました。

今後、こうした台風直撃時や局所的な大雨などの被害が発生した際は、発着の調整を首都圏3空港(羽田・成田・茨城)で行う枠組みを作ってもいいのではないだろうか。国の関与により施策が検討されることを期待したい。

今回、成田空港で多くの人が足止めされたことは大型台風という避けられない自然現象に起因するものであり、また関係各社の復旧に向けた最大限の努力があった。一方で、東京五輪が開催される来夏にこういったトラブルが発生することを懸念する声もある。羽田空港発着の国際線が増えているとは言え、成田空港は日本の空の玄関口だ。今回の事態を参考に、異常時対策がより進むことを期待したい。

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