「誰にでも社交的」目指す日本的会社員の問題点 「相性の悪い人」と付き合う時に役立つ作法

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そのことに気づいた僕は、苦手な相手ほど、先回りして相手のことをおもんぱかったりはしないようになりました。「相手がこんなことを言ってくるんじゃないか」とか「この間、こう答えたらこう切り返されたから、次回は違う戦略でいこう……」といった思いを完全に忘れ、できるだけ新鮮な気持ちで向き合う。そのほうがよほどうまくいくことがわかってきたのです。

これを簡潔に言えば、「自然体で相手と接する」ということです。もちろん、本当の意味で「自然体」でいるというのはとても難しく大変なことですが、「下手な準備や予測をするのをやめる」というだけでも、十分に効果的です。

相手の出方をあれこれ想像するのではなく、まずは深呼吸をして、背筋を伸ばして、自分の心を明るくする。そうすることで、私たちは少しだけ、苦手な相手に対する先入観から解放されるようになります。

朝から機嫌よくしておく

突き詰めれば、対人関係の要諦は、相手をコントロールしようとすることをやめて、自分自身が「明るい自分」「リラックスした自分」でいることです。いつも不機嫌で、暗い表情をしている人、そうではなくともどこか緊張して構えている人に、人は心を開こうとは思いません。自分自身が明るく、機嫌よく1日を過ごしているということこそが、相手との距離を縮め、心を開かせるカギとなるのです。

そういう意味では、「相手の心をコントロールすることはできない」と悟ることは、対人関係を改善していくための「第1歩」といえると思います。

それが結果的には、相手に心を開いてもらうことにもつながります。相性の悪い人、あるいは初対面の人が相手の時に、事前に自分の心をできるだけ明るくしておく。感覚的には普通にしているよりも「5%」だけでも明るくすれば、関係性には、必ず変化が起きます。

ただし、大事なのは、「相手に心を開いてもらうために」という目的意識を捨てること。そうしないと、どうしても相手をコントロールしたいという気持ちにとらわれ、むしろ気持ちが暗くなってしまいます。「相手を喜ばせるため」ではなく、自分自身がすっきりとした爽快な気分で人前に立つ、ということを考える。

そうすることにどうしても抵抗のある人は、どこかで自分の気分の悪さ、暗さは「◯◯のせいだ」という気持ちをこじらせていないか、ということを自分なりに振り返ってみましょう。◯◯には人の名前、自分の親、社会、制度、などあらゆるものが入る可能性があります。

無意識のうちに「誰かのせいだ」とこだわっている人は、自分で自分の気持ちを切り替えられません。なぜか。1度でも切り替えることができたら、もう現状の生きづらさを他人のせいや社会のせいにしにくくなるからです。

でも、これはとても損なディール(取引)だということは少し考えてみるとわかります。自分の対人関係を立て直すことができるのは自分しかないからです。ですから、1度だけ、自分にとって不利益な取引をしていないか心を見つめてみてください。

例えばその日、初めての営業先を訪れることがわかっているのであれば、朝起きたときにできるだけ「明るい自分」をつくっておく。会社に向かう電車の中でため息をついていた人が、営業先に着いた途端、明るい自分になれるかというと、それは難しい。大事なのはその日、起きた時に少し背伸びをして、明るい笑顔をつくっておくこと。そうすれば、実際に相手に会うときにも、自然といつもより明るい自分でいられるようになるはずです。

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アルファポリスビジネス編集部

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