「誰にでも社交的」目指す日本的会社員の問題点

「相性の悪い人」と付き合う時に役立つ作法

営業先や取引先との関係づくりも、基本的には同じだと思います。まずは継続的に関係性をつくり、少しずつ相手の警戒心、恐怖心を解いていくことがよいのです。

相手に心を開いてもらうのには、時間がかかる。そう言われてみると、言葉のうえではほとんどの人が何となく承知していることでしょう。でも、私たちはついつい、早く相手に心を開いてもらいたいと考え、焦ります。そこには、ある種の無意識のうちの焦り、すなわち強迫観念があります。

それはおそらく、「一人前のビジネスマンであれば、どんな相手とも仲良くして、信頼関係をつくらなければいけない」という思い込みからくるものです。

もちろん、多くの人と深い信頼関係を築くことができるに越したことはありません。しかし、人間にはタイプの違いがあり、相性というものがあります。どんな人とも、同じ距離感で付き合えるわけではありません。すぐに打ち解ける相手もいれば、どこまでいってもすれ違いになってしまう相手もいます。そして、「相性の悪い相手に心を開いてもらう」というのは、実はそう簡単なことではありません。

そもそも「相手に心を開いてほしい」と悩んでいる時点で、その相手とは、あまり相性がよくないという可能性も少なくないでしょう。というのも、「相性のいい相手」であれば、何度か話しているうちに自然と打ち解けて、そう悩まなくても相手の本音を聞くことができているはずだからです。

「仲良くできなくても仕方がない」と割り切る

人は初対面の時に、だいたい80%ぐらい相手のイメージを固定化させてしまうと言われています。初対面で「ああ、この人とは相性がよさそうだ」という印象を互いが受けていれば、心を開いてもらうことも難しくはない。逆に、最初にネガティブな印象を与えてしまったとしたら、それを後からひっくり返すということは、非常に骨が折れます。

身もふたもない、と感じるかもしれませんが、それくらい、人は頑固で固定観念の塊だということですね。

日本には、「どんな人とも仲良くしなければいけない」という独特の空気があります。それゆえに、目の前の人と打ち解けられないのは、自分のコミュニケーション能力のせいなのではないか、と思ってしまいがちです。しかし、どれほどコミュニケーション能力を磨いたとしても、相手がこちらに対して受ける印象を自由にコントロールすることはできません。

まずは「相性の悪い人の心を開かせることはできなくて当然だ」というぐらいに、割り切ってしまいましょう。そうすることで「どんな人とも仲良くしなければいけない」という強迫性から少し自由になって、かえって本来の自分の魅力が自然に醸し出されてくる人も多いのです。

「相性の悪い人とは仲良くできなくても仕方がない」というのは、身もふたもない極論で、何の解決にもなっていない、と感じるかもしれません。ところが、そうやって割り切ることによって、実際には、下手な小手先のテクニックで相手の心を開かせようと試みるよりも、相手との関係性がよくなることが少なくありません。

というのも、日本のサラリーマン社会には、「無理にでも笑顔で取り繕う」という文化が、かなり深いところに根付いており、また、そのことでストレスを抱えている人がたくさんいるからです。

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