駅伝では個々の走力が違うが、その実力をチーム全員が認め合うことが大切になる。たとえば、5kmを20分で走るのが精いっぱいのランナーに、5kmを18分で走るように求めるのは無理がある。選手たちが十分に達成可能な「設定タイム」(ビジネスでいえばノルマ)を定めて、個々が目標をクリアできるように最大限の努力をすることが、チームにとって大きな力となるだろう。
もし、設定タイム20分の選手が21分かかってしまっても、ほかの6人が10秒ずつ挽回すれば、チームとしての目標は達成できる。仲間の状態を見ながら、チーム全体でカバーできるような雰囲気づくりが、ビジネスの現場でも生きてくるはずだ。
チームとしての目標を明確にすることで、選手個々の役割も明確になる。勝つためにはどういう走りをするべきなのか。それを実現するためにトレーニング(ビジネスでは日常業務)をすることになる。自分の走力がアップすれば、それはチームの成長につながる。そして、チームが「戦う集団」になれば、今度はチームの雰囲気などが個々の力を引き出す要因になる。同じ目標に向かって進む仲間だからこそ、お互いの成長が理解できて、それが自分たちのさらなるモチベーションにつながるはずだ。
箱根駅伝を制した東洋大の選手たちはこう言った。「最も選手層の厚いチームで、箱根のレギュラー10人に選ばれたわけですから、ほかの大学の選手に負けるわけにはいきません」。職場もこのような雰囲気になれば、きっと“勝てる”集団になる。
近年は1区間3~5kmほどの気軽に参加できる駅伝レースが多く開催されている。職場の仲間と一緒に出場してみてはいかがだろう。前のランナーたちの汗がしみこんだタスキをどんな思いで次の走者につなげるのか。駅伝を実体験することで、仕事術のヒントが得られるはず。ぜひ、「駅伝力」をビジネスにも活用してほしいと思う。
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