愛煙家の聖地「スナック」に押し寄せる禁煙の波 禁煙化に踏み切ったスナックに聞いてみた

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そうは言っても、もともとはタバコが吸えていたお店である。全面禁煙に踏み切ったことで、影響はなかったのだろうか。

「多くのお客様は、わたしが身体を壊したことを心配してくれて、『それなら仕方ない』と納得してくれた。ただ、酔ったお客様から『スナックでタバコ吸えないとはどういうことだ、冗談じゃねえ!』と言われたこともあったわ。それでも、『ごめんなさい。嫌だったら帰ってね。これはみなさんにお願いしていることだから』と言うと、大人しくなって結局、お店に居続けてくれるのよ」

タバコを吸うことが目的ではない

愛煙家にとってタバコを吸えないのはつらいことだが、優しい口調でお願いされると、文句は言えない。そして何より、この店に居続けたいという気持ちの強さが垣間見られた。

「ただね、寒い日に外でタバコを吸っている姿を見ると、申し訳なく思うこともある。マフラーをこちらで用意しておいて、少しでも身体を冷やさない配慮はしてるんだけどね。でも最近は、こちらからお願いしなくても外でタバコを吸ってくれるし、新しいお客様には常連さんが『タバコは外だよ』って教えてくれたりして、私の身体を気遣いつつみんなが協力してくれる」

今回取材した禁煙スナックを訪れる客は、必ずしも“タバコが吸えること”を求めるのではなく、ママやスタッフ、常連とのコミュニケーションや楽しいお酒、そして憩いの場としてのスナックを求めているのではないだろうか。

いま、顧客離れを懸念して、禁煙に踏み切れていないスナックも多い。しかし、常連から愛されている店であれば、たとえ全面禁煙に移行したとしても、売り上げや客足への影響は限定的のようだ。それがママの身体を考えてのことなら、なおさらである。

いま日本では、社会全体として、タバコとの向き合い方を変えようとしている。しかもそれは、日本だけでなく、世界的な潮流でもあるのだ。

スナックにおいても、多種多様なスナックが増えつつあり、今後、禁煙であることを求めてくる客も増えていくであろう。全面禁煙に踏み切ることで、ともに健康に配慮しながら楽しめる店が増えていくのではないだろうか。

五十嵐 真由子 スナック探訪家、PRプランナー

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いがらし まゆこ / Mayuko Igarashi

国立音楽大学卒。CM音楽制作会社、楽天を経て独立。Make.合同会社代表としてストーリーブランディングを手法としたPRコンサルティングを提案・提供している。またスナック探訪家女子「スナ女」として、「スナック入門講座」「スナック女子向けツアー」、オフィスコミュニケーション「オフィススナック」も精力的に行う。最新情報はホームページツイッターで配信中。

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