スナック。そこで働くママやマスターは、夜な夜な集う多種多様な男女を個別に観察し、巧みに結びつけている。経験に裏付けされた類まれなる手腕で演出されるのが、スナックならではの“一体感”だ。
そしてその一体感は、ときに男女の結びつきにまで発展する。数々のスナックを渡り歩いてきた筆者は、人気店であればあるほど、ママの口から「このスナックで出会った〇組のカップルが、結婚したわ」という言葉を聞いてきた。それはつまり、ママのお節介によって恋が成就しているということだ。
スナックは古きよき出会いの場
事実、恋愛に関する相談相手を求めてスナックを訪れる人は多い。熟練のママともなれば、相手の人となりや話しぶりをもとに、客同士の相性を見極めてマッチングしたり、最適な人を紹介したりしてくれる。また、結婚に至ったカップルは夫婦で常連客となり、家族ぐるみの輪が広がっていく。スナックはまさに、古きよき“出会いの場”なのだ。
近年では、SNSをはじめとする非リアルのコミュニケーションが主流になりつつある。インターネット上で男女が出会えるサービスも豊富だ。ただ、ネット上でのつながりが広がる反面、リアルのコミュニケーションに悩みを抱える人も少なくない。
事実、恋活・婚活マッチングサービス「Omiai(オミアイ)」では、直接対面した際に「何を話していいかわからないときがある」「相手に聞きたいことが聞けない」「会話が盛り上がらない」「素の自分が出せず疲れてしまう」などの悩みが寄せられている。ネット上でのやりとりはスムーズでも、対面時のコミュニケーションに課題を感じている人が多いのだ。
こうした状況の中、5月半ば、渋谷・道玄坂の「スナック 杉の子」にてリアルイベント「Omiai in スナック」が開かれた。「スナックのママがもつ“お節介スキル”は、恋愛コミュニケーションに悩む男女の一助となるに違いない」という確信のもと、前述のOmiaiが主催。参加したのは、同サービスの登録者であり、スナック未経験者の20~30代の男女計7人だ。
18時半。緊張の面持ちの参加者らを、これまで数々の男女を結び付けてきた杉の子の薫子ママ、そして男女の会話を盛り上げるスペシャリスト飯島マスターが笑顔で出迎える。
だが、「最初はすごく緊張しました」(ノリさん・男性)、「これまでスナックは行ったことがなかったので……」(ハルさん・女性)という言葉どおり、参加者の表情は硬い。
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