スナックにはなぜ「オモロイ人」が集まるのか 重い扉の向こうにある現代の娯楽施設

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今日はどの扉を開けようか…(写真 : まちゃー / PIXTA)

妖しげな雰囲気を醸し出し、夜の街をひっそりと照らす「スナック」。興味はあるけれど、いまだ訪れたことがないという読者も多いのではないだろうか。実はスナックこそ、今、あらためて見直されるべき最高の“娯楽施設”なのである。

そもそもスナックが誕生したのは今から半世紀ほど前のこと。1964年の東京五輪を目前に控え、「スタンドバー」の深夜営業が制限される中、お酒だけでなく軽食(スナック)を提供する形態として生まれたのがスナックの起源だ。

【11月8日19時00分追記】上記においてスナックの前身が「スタンドバー」であったと記述していますが、これは谷口功一・スナック研究会編『日本の夜の公共圏』(白水社)を典拠としています。本文中で出典に触れなかった点についてお詫びします。

スナックが担っている役割とは

この連載は今回が初回です

2次会で利用されることが多いスナックでは、つまみの多くがいわゆる“乾き物”である。柿ピーや珍味、チョコレートなどが主流だ。なかにはさまざまな乾き物を常時100種類ほど用意している店もある。乾き物は原価が安く、料理の手間もかからない。会話を楽しむスナックには最適というわけだ。

スナックだけに限定した数字は見当たらないが、政府統計の「経済センサス基礎調査(バー、キャバレー、ナイトクラブ(従業員数1~4名))」によると、2009年時に約10万軒あった店舗数は、2014年には約8万軒と、およそ2割が閉鎖している。

ただ、数字の上では衰退傾向にあるスナックだが、初期費用を抑えられるなどの理由により、最近では都心部を中心に新規開店が目立つ。若い女性が異業種から独立して開店するパターン、夜の世界で就労経験のある女性がスナックに転移し開店するパターンなどが多いようだ。

また、娯楽の少ない地方都市でもスナックは人気だ。スナックの店舗数を対人口比(10万人あたり)で割ると、「1位:宮崎県」「2位:青森県」「3位:沖縄県」「4位:長崎県」「5位:高知県」という順位となっている(『タウンページデータベース(2010年10月)』より算出)。貴重な娯楽施設として親しまれている証拠だ。

では、こうした地域でスナックが担っている役割とは何か。ズバリ、「コミュニティの形成」である。会話を求めて集まる人々に対してアットホームな空間を提供するという役割を果たしている。まさにスナックは、地域交流における重要拠点であると言っても過言ではない。

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