スナックにはなぜ「オモロイ人」が集まるのか 重い扉の向こうにある現代の娯楽施設

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昨今ではSNSを中心とした “非リアル”の場による交流が盛んだが、ネット上で完結する交流にはどうしても奥行きが乏しいうえ、得られる刺激もかぎられる。そこで、リアルな場で知らない人同士が交流できるスナックに、今ふたたび、注目が集まっているというわけだ。昨今のスナック人気はまさに、「リアル交流への回帰」を象徴しているとも言えないか。

スナック未経験の男性・女性諸君。おそれることはない。今こそ、あの禍々しいドアを開け放ち、スナックが生み出す魅惑的な世界へと足を踏み入れようではないか。本連載では、スナックに魅了され、全国津々浦々のスナックを訪れてきた筆者(アラフォー女子)が、新たなスナックの扉を開き、その魅力を直に伝えていく。

「ママ」という圧倒的な存在

とはいえ、焦ってはいけない。読者をスナックの世界に誘う前に、なぜ今、スナックが再び見直されているのか、あの扉の向こうにどんな魅力があるのかを改めてお伝えしよう。

スナックの魅力その①「ママが生み出す店舗の個性」

スナックの魅力は何と言っても「ママ」または「マスター」にある。ママの人柄、ママの個性、そしてママの独特な接客を求めて通い詰める常連も少なくない。そこでは、お酒や軽食の質は二の次なのだ。それよりも、ママとのコミュニケーションを求めて行くのである。

スナックの個性はママの個性と言ってもいい。聞き上手なママもいれば話上手なママもいる、場合によっては踊りや歌で楽しませてくれるママもいるだろう。どんなママが好みなのかは人による。だからこそ、いろいろなスナックに行く楽しみもあるというものだ。

事実、お邪魔したスナックには特徴的なママが多かった。

「もうすぐ80歳なのよ」とはにかむママは、どう見ても50代。客がカラオケを入れると、バブル期を彷彿とさせるような激しい踊りで盛り上げる。途中、よろけていくつかの乾き物が宙を舞った。若さの秘訣はこのアクティブな接客であろう。

また、旅先で訪れたスナックでは、ママとの会話が盛り上がり、深夜まで話し込んでしまったこともある。翌朝、ホテルでチェックアウトを済ませると、スナックのママがホテルの前にいた。「深夜まで付き合わせちゃってごめんね。これほんの気持ちだから」と、差し出された袋には握りたてのおにぎりが。人情味あふれるおもてなしに心が震えた。

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