そんな中、スナックを活用した今回のお見合い企画は、独特な場の空気感やカラオケなどによる一体感創出に加え、ママやマスターのサポートによって、良好なコミュニケーションを演出できたのではないかと振り返る。無事に2組のカップルも成立し、「今後もリアルと非リアルを融合しながら、安全・安心な出会いのきっかけづくりに努めていきたい」と笑顔で話していた。
少子化が社会問題として叫ばれている昨今。結婚や出産の前提となる恋愛に奥手な男女が増えていくと、問題解決の兆しは見えてこない。とくに、ネット上での表面的なコミュニケーションが中心となりつつある現代社会をふまえると、事態はより深刻である。
そのような状況において、今回のイベントから見えてきたのは、一歩が踏み出せない男女に対し、自然なコミュニケーションを演出するスナックならではの可能性である。
スナックが“効く”のは男女関係だけではない
人は誰しも、心のどこかで「一歩、踏み出したい」「殻を破りたい」と思っている。しかし、失敗を恐れるあまり、人と深く関わることから遠ざかってしまうケースも多い。そんなとき、多くの挫折や失敗を経験してきたママからの、優しく、鋭く、ときに厳しい叱咤激励があれば、自然と前に進めるようになる。甘えを排除した真摯な対応が、人々の行動を変えるのだ。
そのような、ママ・マスターによってもたらされる円滑なコミュニケーションが、現代社会の希薄な人間関係をより深く掘り下げる一助となるのではないか。今回のイベントを通じて、筆者はそう痛感した次第である。
それは必ずしも、恋愛だけに当てはまるのではない。企業をはじめとする組織内コミュニケーションに関しても、ママやマスターのような仲介役(ファシリテーター)の存在が重要である。人と人とが出会い、立場を超えて自然に交流できれば、組織はより活性化されていく。
また交流というのは、あらゆる世代が共有できる最高の刺激だ。スナック特有のフラットなコミュニケーションがカンフル剤となり、話しやすい雰囲気が醸成され、胸襟を開いて話ができること。外国人、女性、シニアなど、次世代を担う新しい人材の“活躍の場”が広がりつつある日本社会において、そのような場は非常に貴重である。
すべての問題は、もとをたどればコミュニケーションに起因しているものだ。その点において、今後、スナックの役割はより多様化していくことだろう。スナックという場、そしてママやマスターの存在が、さまざまな出会いを創出する役割を担うかもしれない。それはまさに、現代社会が必要としている“お節介”そのものである。
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