中国の都市部の「強い」女性たちは、結婚生活についてどう考えているのか。以前、この連載で、30代で2人の子持ちの女社長や大手企業でディレクターを務めるディンクスの女性などに結婚生活を語ってもらったことがあった。
(関連記事:中国人エリート女性のホンネ鼎談<上><中><下>)
彼女たちは夫も一流企業勤めで、中国では成功したエリートカップルだ。しかし本音では、「社会にも結婚生活にも『安全感』がない」とぼやく。稼ぎはよいが競争はその分猛烈に厳しい。「特色ある社会主義国」において、せっかく貯めた財産がどこまで保障されるのかという不安もある。今の世の中は誘惑も多い。妊娠2カ月の新婚女性社長は最近、夫の接待が多くなってきたことにくぎをささなくちゃいけないと気をもんでいた。
彼女たちは言う。「経済的に独立していないと、損をするのは女性のほうだから」と。「強い」女性の背景には、強くならざるを得ない社会の厳しい現実がある。
もっとも、夫婦とはよくできたもので、強い奥さんの夫はたいてい、穏やでやさしい男性であることが多い。中国のトレンディドラマに出てくる新婚カップルなどがまさにそうで、会社でバリバリ活躍する奥さんに、ちょっと気の弱そうなエリート男性が振り回されつつ、夫婦のありさまを模索するというのがイマドキのテーマだ。では、実際の現実社会で、そんな強い女性を奥さんに持った中国のエリート男性は、どう思っているのだろうか。3人の男性に、それぞれ本音のところを聞いてみた。
※その1:強い奥さんを持つ、中国エリート男子の嘆き
※その2:中国の成功した男は、なぜ愛人を囲うのか
――ずばり日中で奥さんは違うと思いますか?
許:違いはけっこう多いですね。たとえば日本人の奥さんは、夫の仕事のことにはあまり干渉しない。「勝手にやって」という感じで、夫が会社でいじめられたり、何かトラブルにまきこまれていたとしても、奥さんが会社まで行って、上司と闘ったりしないでしょう。
――しません! しません!
許:でも中国の奥さんは夫が会社でいじめられたら、夫のことを気にして、同じように怒ったり不満を共有してくれたり、あるいは夫の後ろ盾になって一緒に戦ってくれたりする。中には会社まで乗り込んでいく人もいる。
――中国の女性はなんでそんなに夫の仕事に干渉するのかなと思っていたのですが……。
許さんの妻(以下、妻):中国では女性が解放され、「天の半分を支える」と言われます。このため中国の女性は外に働きに出るようになり、家庭のことについても主張するようになりました。加えて夫の出世のサポートにも熱心です。
たとえば私は上海出身ですが、上海人の妻は、夫の職場の上司に心付けをたくさん贈るなどして、夫の昇進を助けようとします。そういう賢い奥さんをもらうことは夫にとって鼻の高いことですし、妻にとっても夫の出世の役に立てるというのはうれしいことなのです。
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