――ほかに違いはありますか?
許:そうだな。たとえば中国の家庭では……。
妻:あ、私もひとつ知っているわ! 中国の家庭では家事をする女性は少なくて、お手伝いさんを雇うことが多いけれど、日本ではお手伝いさんをほとんど雇わないと聞いたわ。
――一般家庭では費用が高くて雇えませんから。上海では夫が家事をすることも多いですね。
妻:そうですね。南方では、亭主関白な北方と違って、男性も家事全般をこなします。ただ地域に限らず、都市部の一人っ子は女性も男性も、親から「家事なんかしてないで、勉強しなさい」と言われて育ってきたはずです。
私も家の手伝いをしようとすると、母親に「それはあなたのやることじゃないわ、早く勉強しなさい、時間を無駄にしないで」って言われました。私みたいな子供は多いのではないでしょうか。
許:あともうひとつ違いは、こうやって僕が話し終わっていないのに、奥さんが口を挟んで、話をもっていってしまうこと! これぞ典型的な中国人妻!
妻:あはははは! 確かに! で、話を戻すと、そんなふうに育ってきた女性は、家事なんてお手伝いさんに頼めばいいと思うようになるのです。
――許さんのご家庭では、家事はどなたが? 奥さん、専業主婦ですよね?
許:僕がやっていますよ。彼女が掃除したら、半分したところでテレビを見にいってしまうし、料理や洗濯も僕がやったほうが早いですから。
――では、奥さんは何を?
妻:私は子供の面倒を見ています。それは私のほうが得意ですから。専業主婦といっても、私は家で週に2~3回、子供向けの英語教室もやっているのです。あと彼の仕事を手伝って、文章をパソコンに打ち込んだりしていますよ。
許:家のことは、お互い得意なほうが得意なことをすればいんですよ。幸い、僕は自宅で仕事をしているので、それほど負担になりません。これが毎日、会社に出勤するサラリーマンでしたら無理でしょうね。
――やさしいだんなさんですねえ。
許:でしょ! 友達にもうらやましがられています。今どき、こんな理解のあるだんなはいないって。
(※ここで奥さんは子供に呼ばれていったん部屋を出る)
――おふたりはけっこう年も離れていますが、けんかしたりすることもありますか?
許:けんかは多いですねえ。もし子供がいなかったり、彼女がさっき話したような中国の伝統を学ぼうと思っていなかったら、別れていたかもしれません。
――けんかの原因は?
許:小さいことですね。僕はあまり干渉されたくないタイプだけれど、彼女は何かと管理したい人だから。今は管理する相手は僕しかいないので、ほとんど全部僕に向かってしまう。たとえば、動かしたものを元に戻さないとか、朝起きたらベッドを整えないとか、脱いだ服が脱ぎっぱなしとか、そんな些細なことばかりです。
それで僕が「君だって脱ぎっぱなしにしているじゃないか」と言うと、たちまちけんかになる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら