中国のキャリアウーマンは、つらいよ 中国人エリート女性のホンネ鼎談(上)

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 日本にとって近くて遠い国、中国――。日本人は、中国や中国人について語るとき、つい画一的なイメージを持ってしまう。しかし、中国人は極めて多様だ。とくに若い世代と古い世代には、価値観に大きな隔たりがある。
 では、中国人の新世代エリートたちは、今どんなことを考え、どんな価値観をもっているのか。現地でのインタビューや鼎談などを通じて、キャリアから政治から恋愛まで、今時の中国人の本音を探る。
中国でもワーキングマザーとして生きるのは一苦労だ(写真:アフロ)

中国は日本に比べて「男女平等」とよく言われる。実際、結婚や出産後も女性が働き続けるのは当たり前。管理職の女性比率も日本より高い。

ただし、中国においても、女性が仕事とプライベートを両立させるのは大変だ。今回は、3人の中国人エリート女性たちに、恋愛・結婚・キャリア事情などをざっくばらんに語ってもらった。

<対談者プロフィール>
魯悦:1976年生まれ、北京市出身。イギリスに留学経験あり。イベント会社を経営し、傘下にバーやレストランを所有する。北京出身の夫は国営のエネルギー会社勤務。昨年末に結婚し、妊娠2カ月。
劉陽:1973年生まれ、重慶市出身。カナダで留学と仕事をした経験あり。広告会社のブランディングディレクター。広州出身の夫は金融業界勤務。結婚9年目で子供はなし。
陳雪:1979年生まれ、四川省出身。アメリカの永住権を取得するも、6年前に帰国、中国でファッション系サイトを創業し、現在は社員100人以上を抱える規模に発展。アメリカ華僑の夫は会計士。結婚7年目で1歳と4歳の息子を持つ。義両親を北京に呼び寄せ同居中。

専業主婦は尊敬されない

――今日はみなさんに、中国のエリート女性の結婚観を、忌憚なくお話しいただければと思っています。

劉陽:私たちは3人とも同じようなバックグラウンドだけれど、けして中国の大多数を代表する存在とはいえないわ。

陳雪:むしろイレギュラーなタイプだと思う。

魯悦:一部に私たちみたいな女性も少なからずいるという感じかしら。

――連載テーマが「中国のエリート」なので、成功したタフなエリート女性が結婚についてどう考えているかをおうかがいできればと……。

劉陽:中国の女性がタフなのは、女性の問題じゃないと思うわ。それは社会の問題よ。今、中国社会はとてもせわしなく、みな目先の利益を得るのに忙しい。会社であれば、業績第一、「人」なんてどうでもいい感じ。私は海外生活が長いけれど、欧米ではもっとゆとりがあったわ。

魯悦:それに中国では家庭が重視されていないと思う。

劉陽:そうそう。この国では専業主婦は、仕事として尊敬されないわ。でもアメリカでは離婚の時、専業主婦であってもそれを仕事とみなして、「給料分」の財産分与が行われる。

陳雪:中国では全くそうじゃないわね。

魯悦:そもそも中国では晩婚を奨励しているでしょ。まずは社会にさっさと出て働きなさいと。企業だって同じ。管理職の女性が子供を産みたがらないのは、産んだらそのポストを誰かにもっていかれるからよ。

陳雪:そういう話はすごく多いわね。産休あけて、会社に戻ったら仕事がなくなっている。

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