中国のキャリアウーマンは、つらいよ 中国人エリート女性のホンネ鼎談(上)

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――それでも中国は日本よりも男女平等が進んでいて、女性がどんどん昇進できると感じるのですが……。

劉陽:確かに表面的にはすごく男女平等よ。これは建国後の「女性解放」の影響が大きいと思う。毛沢東が「女性は天の半分を支える」と唱えて、女性も男性と同じようにバリバリ働くことが奨励された。

でも1つ大きな問題があって、本当の男女平等というのは、男女の生理上の違いを尊重してこそ成り立つものだということよ。でも中国はそうではない。例えば仕事をしている女性が、子供を生んで育てるとなったら、男性も家事を手伝う必要があるでしょう。そのためには、会社に働きやすい環境が求められる。

でも、今の中国ではサービス残業なんて当たりまえ。社長が残業を減らしたいと思っても、社員に必要な生活福利を満たしていたら、会社は赤字のままだわ。

:まさにその通り!

陳雪:私の会社ではこんなことがあった。最初のころアメリカスタイルで会社を管理しようと思ったの。つまりタイムカードはなし、社員にはプレッシャーを与えず、自由な職場環境で働いてもらいたいと思っていた。でもその結果、社員は11時半になってようやく出勤してくる始末。アメリカ式のゆとりのある管理をしようと思ったら、彼らはちっとも働かないのよ!

魯悦:ああ、すごくわかるわ!

陳雪:だから今はルールを変えて、無遅刻無欠勤無早退なら100元の手当を出すことにした。そうやって、会社がだんだんローカル化してくると、今度は休日出勤して仕事している社員を見て、なかなかよろしいと思えてくる。そしてそれがだんだん当たり前になり、サービス残業しない社員は態度が悪いと思ってしまう。でもアメリカでは土日は誰も残業しないし、するのであれば、その分、費用を払うでしょう。

魯悦:それだけでなく、社会全体に「安全感」がないことも、女性を強くする理由だと思う。例えば病気になったら高い医療費を払わなくてはいけない。おまけに病院は人であふれかえっていて、どこも長蛇の列よ。しかも受付で並んで、診察室に入るに並んで、検査でもまた並んで、そのたびにあっちにいったりこっちにいったり、1人では無理なので、夫にもついてきてもらうんだけれど、タフでないと病気をみてもらうこともままならない。

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