友人が紹介してくれた面白い中国人エリート
「日本の人にとって、中国のニューリッチはブランド品を買いまくっているイメージがあるかもしれないけれど、そういうわけでもないのよ」
あるとき、友人の周雲がそう言った。彼女は1970年代生まれ。高校を卒業後、日本の大学に進学、日本の広告代理店などで働いた後、今は北京を拠点に画廊の広報などを手掛ける。仕事柄、中国のエリート層と接する機会も多い。
では、彼らは今、どんなことを考え、どんなライフスタイルを送っているのか。そんな話になると、「最近、知り合った人で面白いことをしている女性がいるから、紹介するわ」と周雲。後日、彼女の案内で出向いた先は、ビジネスパーソンと出稼ぎの物売りが入り混じる北京のCBDから徒歩10分、レンガ造りの工場を改装したレトロモダンなエリアだった。
建物内に入ると、かつての工場らしいがらんとした大きな空間が広がる。そこに木のテーブルが並べられ、奥にはキッチンがあり、一見するとレストランのようだ。一部に仕切られた空間が設けられ、内側がオフィスになっていた。周雲が声をかけると、ピンクのスーツで身を固めた小柄な女性がひょいと顔を出し、「ハロー」と笑顔になった。
彼女は段妍玲という。内モンゴル出身の70年代生まれ、周雲と同様、高校を卒業後、スウェーデンの大学に進学、ニューヨークで広告の仕事をした後、10年前に帰国した。北京ではテレビやデザイン誌などの仕事を経て、現在はDui’A COMmunicationのCEO、中国で新しいライフスタイルを提唱しているというのが、事前に得た情報だった。
そこで彼女が唱えるライフスタイルから中国のグローバルエリートライフについて話をしてほしい――。そんな来意を告げると、「今日はいい天気だから、テラスでお話しましょう!」と外に出た彼女は、「最近のいちばん大きなプロジェクトの話からしていいかしら」と話し始めた。
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