アメリカがイラン全土を標的とした攻撃を開始、ホルムズ海峡が封鎖された場合には日本に甚大な影響が出る可能性
米国とイスラエルは28日、イラン全土を標的とした攻撃を始めた。イラン南岸には世界の石油輸送の要衝であるホルムズ海峡があり、対立激化に伴い封鎖されて船舶の航行が困難になった場合には、日本にも甚大な影響が出る可能性がある。
日本政府や企業も対応を進める。高市早苗首相は28日夜、情報収集の徹底と在留邦人の安全確保に向けて万全の措置を講じるよう関係省庁に指示したと官邸で記者団に明らかした。「現時点で邦人被害の情報には接していない」とした上で、「海路、空路の状況把握と関係事業者への情報提供、今後予想される経済的影響の洗い出しについても指示を出した」と述べた。
事態が拡大していることから、イラン、イスラエルに加え、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)など周辺国の邦人安否情報の把握、安全の確保についても指示しているとした。小泉進次郎防衛相、茂木敏充外相らが出席する国家安全保障会議(NSC)の閣僚会合を開催し、今後の対応を協議するという。
コスモエネルギーホールディングスの広報担当者は取材に対し、現時点では「運航に影響が出ている状況ではない」とし、当面は原油供給に問題はないと電子メールで回答した。その上で、事態を注視しながらペルシャ湾の船舶の運航について十分な安全措置を取るよう注意喚起をしているとコメントした。
丸紅の広報担当者は、イランの駐在員はすでに国外に待避済みとし、今後も情勢を注視し安全を第一に対応するとした。三井物産もイラン、イスラエルの拠点には駐在員はいないという。イランへは渡航見合わせ、中東地域への出張は慎重に検討するよう指示している。

日本航空(JAL)は中東情勢の現状を踏まえて、28日と3月1日の羽田-ドーハ便の欠航を決めた。2日以降は今後の状況をみて検討する。UAEのエミレーツ航空もドバイ発の全便の運行を見合わせている。
商船三井は、現時点で周辺の同社に関係する船に注意喚起している。安全運行支援センターで24時間体制で監視。船員、貨物、船舶の安全を最優先して対応する。日本郵船は、自社関連の船に対して、ホルムズ海峡周辺の海域を航行しないように指示した。
9割を中東に依存
イランの核開発を巡る交渉が難航する中、トランプ米大統領は中東に大規模な戦力を配備して軍事攻撃をちらつかせるなど圧力を強めてきた。27日には米国政府は在エルサレム大使館の緊急時対応以外の職員に対し、イスラエルからの退避を許可した。エネルギー供給や金融市場への影響が懸念される。
イラン南岸には世界の石油輸送の要衝であるホルムズ海峡があり、対立激化に伴い船舶の航行が困難になる恐れがある。米国エネルギー情報局(EIA)によると、2024年には世界全体の消費量の約20%に相当する日量平均2000万バレルの原油がホルムズ海峡を通過した。原油輸入の約9割を中東に依存する日本の場合、23年輸入量の約74%がホルムズ海峡経由だったとされ、封鎖された場合の影響はさらに大きい。

地政学的リスクの高まりを受けて原油相場は上昇している。国際指標の北海ブレント原油先物は約6カ月ぶりの高値水準で取引されている。円安も相まって、原油の輸入コストが上昇し、インフレが加速する可能性がある。
著者:稲島剛史
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