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銀座No.1ホステスは「美人ではなくセンス」の人 ビジネスのセンスを磨くコツは「諦めが肝心」

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  • 内田 和成 東京女子大学特別客員教授、早稲田大学名誉教授
  • 楠木 建 一橋ビジネススクール特任教授
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楠木:その一方で、インサイトが高まった後に情報が来るというように、順番が変わることもあります。例えば、今日の円ドルレートがいくらというのは情報ですが、これだけ情報の流通コストが安くなると、その手の情報は無限にある。

しかも前と比べると、はるかに多くの量が手に入ります。その中で、その情報になぜ注意を払ったのか。そこには事前にインサイトというか、何らかの関心があるはずです。そこに関心がなければ、そもそも情報に目がいかない。二重の意味で、順番が絡んでくるのです。

内田:確かに、どんな問題意識を持っているかで、ひらめきの度合いや深さ、範囲が違ってきますね。それから、問題意識を持っていると、関連したことを見たときに記憶して、自分の中のデータベースに蓄える。

このままでは、ひらめかないのですが、別のものを見たときに、前回見て蓄えていたデータベースとリンクして、新しいことが生まれるのだと思います。だから、好き、得意、興味のある領域で問題意識を持ってデータベースをつくることをお勧めしたいですね。

失敗も重要な経験値である

内田:先月、私はイスラエルに行ったのですが、そのときに面白いなと思ったことがあります。イスラエルではベンチャー企業がたくさん生まれるのですが、ベンチャー企業を起こして失敗した人と、成功した人が同じ価値だというのです。言い換えると、3回失敗している人のほうが、2回ビジネスを起こして成功している人よりも経験値が高いので、次に、いいポジションや大きな仕事を任される。この価値観はすごくいいなと。

日本では、1回失敗したら、セカンドチャンスはありません。それで成功しても、セカンドチャンスで失敗すれば、3度目はないわけです。日本で本当にイノベーションや企業変革をしたいなら、失敗か成功かは別として、チャレンジした星の数が多い人ほど経験値が豊富だという価値観に変えていかないと、なかなか閉塞感は突破できないですよね。

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楠木:人と違うこと、人が思いつかないこと、人がやりたいと思わないことをやる。古今東西、商売の原理原則ですね。そこは好き嫌いの世界なのに、無理やり、良しあし、優劣、合っている/間違っているのに強制翻訳しがちなのがよくない。

スキルが「できる・できない」の世界であるのに対して、センスは「あるか・ないか」の世界。しかもセンスは千差万別です。人によって方向性が異なる。そこに良しあしの物差しは成立しません。世の中のもろもろを何でもかんでもを良しあしで強制翻訳していく。ここに諸悪の根源があるというのが僕の意見です。

良しあしへの強制翻訳の延長線上には、無意味なマウンティングや嫉妬などすごく不健康な成り行きが出てくる。「好みが違うよね」と、気持ちよく放置をする。相手の好き嫌いを尊重するけれども、過剰な関心を持たない。そこが重要だと思います。

[構成:渡部典子]

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