大英博物館で異例ずくめのマンガ展開催の意味

国外開催のマンガの展覧会として最大規模

展示されている写真や資料、映像は日本側から提供されたものだけではなく、同展をチーフ・キュレーターとして担当するニコル・クーリッジ・ルーマニエール教授をトップとするチームが来日し撮影・収集したものも多い。同展のために収集された資料の多くは、日本では業界では当たり前のもの、として記録の対象とならなかったものも多く貴重である。

イギリスでのマンガ文化の紹介は日本での同様の展示とは大きく異なる点がある。それはマンガを見たことも聞いたこともない人々に対して「マンガとは何か」が理解できる展示でなくてはならないという点である。そのため、展示の冒頭はマンガの読み方・楽しみ方や制作の過程などにも重点が置かれ、全般的にイギリスの人々にわかりやすくなるように配慮がされていた。

外国で日本文化を紹介する際の問題

例えば入口では、ルイス・キャロル氏による児童向け小説「不思議の国のアリス」のイラストと、同作品を題材としたCLAMP氏 の「不思議の美幸ちゃん」のイラストを並べ、同作品が日本でさまざまなマンガのモチーフとなっていることを説明している。

ただし、マンガを知らない人々にとってもわかりやすい展示とするための取り組みは、一方で西洋文化からのまなざしが強くなる。日本を中心とするマンガ文化に造詣が深い視点からは違和感を感じるという意見もある。イギリス国内からの「サブカルチャー色が強い」という指摘はもちろんのこと、日本からも「西洋から見た日本というまなざしが強い」という指摘がありうる。これは、外国において日本文化を紹介する際に逃れられない問題であるともいえる。

入口ではルイス・キャロル氏「不思議の国のアリス」(左)とCLAMP氏 「不思議の国の美幸ちゃん」(右)のイラストを展示(筆者撮影)

同展は日本文化の発信として特別なものである一方、大英博物館というイギリスの機関がイギリスの視点からイギリスの人向けに開催された展示であると見てもよい。これは当然に、日本におけるマンガ文化との視点の違いが生まれる。

大英博物館は世界的に権威ある存在であり、その影響力も大きい。日本では欧米の権威ある機関からの評価がそのまま国内評価となることも多く、残念ながら日本国内から自らの文化を世界に向けて評価・発信する力はまだ途上である。

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