ウサイン・ボルト「世界最速」に学ぶ走るコツ 「走りのプロ」が速く走るコツを徹底伝授!
桐生選手は、2017年に日本人選手として初めて100メートル9秒台の記録を出しましたが、このときは80メートルで最高速度(11.63メートル/秒)に達して、ゴールの時点では11.25メートル/秒。桐生選手もボルト選手と同じように速度の低下率は抑えられています。これまでの100メートルスプリンターのなかでも、ボルト選手は走速度の速さと、速度の低下を抑えられている点が突出しているのです。
陸上の世界には「レースマネジメント」という言葉がありますが、100メートルという短い距離を速く走るためにも、実はどこにスピードのピークをもってくるのか、どれだけスピードの低下を抑えられるかが重要になるのです。
ちなみに小学生の頃、よく走った50メートル走。読者の皆さんは何秒ぐらいで走っていましたか? ここではタイムの良し悪しではなく、速度の変化に注目してみましょう。
さて、問題です。小学生の50メートル走では最高速度は何メートルあたりで出現し、そのあと、どうなると思いますか? 下の図を見てください。
答えは、25メートル付近でトップスピードに達した後は、ほぼ減速なく走りきっています。このデータから50メートルのタイムを速くするためには、どのようなトレーニング方法が思い浮かぶでしょうか?
「50メートル」を速く走るコツ
50メートルを速くする鍵は、スタートから25メートルまでにあります。ここまでの区間をどうやって速くするかが、50メートルのタイムを速くすることにつながっていくのです。
ただ、このデータを知らないと、ついつい行ってしまいがちなのが、50メートル以上の距離を何本も走り込ませてしまうことです。「後半失速しているからもっと走らないとダメだ!」というのは、実は誤ったトレーニング方法につなげてしまいがちです。
2018年6月のFIFA ワールドカップロシア大会の決勝トーナメント1回戦。後半のアディショナルタイムに、サッカー日本代表がベルギー代表にロングカウンターを受けて、勝ち越しゴールを決められたシーンは多くの人の目に焼き付いていると思います。
日本代表で最も長い距離を走った選手は、80メートルほどをスプリントしています。映像から走りを分析すると、最初の20メートルほどでトップスピードに達した後は、どんどん落ちてしまっています。
ということは、トップスピードに到達してから、頑張って腕を大きく速く振ろう! 足を速く動かそう!という意識はスピードの低下を抑えられる可能性はありますが、スピードを高めることにはつながらないということになります。
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