渋谷駅の近くにある渋谷区立宮下公園にも、かつてはたくさんの小屋が建てられていた。スポーツ用品メーカーが命名権を取得して、公園の改修費用を全額負担することが決まった。そこで、公園内に住むホームレスは立ち退きさせられることになったのだ。
この段階で市民団体などが「立ち退き反対」の運動を始めた。テレビニュースでも大きく報道されたため、覚えている人も多いだろう。
公園内から立ち退きにはなったものの、代わりに公園の隣にある自動二輪の駐車場の近くの空きスペースに小屋を建てて、そこへ引っ越すようにお願いをした。
小屋は、渋谷区が建てたといわれている。区がホームレスの小屋を建てるケースはとても珍しい。
統一した規格の小屋が並び、そこには長らく住人が居住していた。その中の一軒に住んでいる40代の男性に話を聞いた。
「バイク駐車場を利用してる人に『一等地に住んでていいね』なんてイヤミを言われることはありますね。『アルミ缶泥棒!!』って怒鳴られることもあります。でも超一等地にタダで住んでるのは確かですから。多少怒られるのは仕方ないなと思っています」
と語った。どのような状況だったとしても、暴力を振るうのはよくない。
2011年に小屋は建てられて、長らく運用されていたが、先日ついに取り壊されてしまった。
現在、公園内に小屋やテントを建てて野宿をするのは、ごく限られた場所を除いて、かなり難しくなっている。
河川敷に小屋
公園に住んでいた多くのホームレスは、生活保護を受けて福祉マンションに移り住んだ。福祉マンションに住むハードルは昔に比べてずいぶん下がった。
ただ、それでも野宿生活を続ける人もいる。現在小屋を建てて生活している人が最も多いのは、河川敷だ。多摩川、荒川、淀川などには現在も大きな小屋が建っている。
場所によっては密集して建てられ、『村』のような状態になっている。
河川敷は土地に余裕があるため、かなり立派な小屋が多い。もはや、小屋と言うより、一軒家というレベルの住居もある。
河川敷の小屋の多くは、床が地面から浮いていた。つまり高床式になっている。これは、河川敷沿いは増水の際には水が上がってくるため、高床にしているそうだ。かなりの技術が必要なことは、素人でもわかる。
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