ホームレスの住居事情は一体どうなっているか

安心して眠る場所を確保するのに苦労がある

多摩川の中でもかなり立派な建物に住んでいる男性に話を伺った。

「今は落ちている電化製品を拾ってきて転売する仕事をしているけど、もともとは鳶職をやっていたからね。小屋を作るくらいのことは簡単にできるよ。前はもっと上流に住んでいて、その時の小屋は、材料から買ってきて建てたんだよ」

ホームレスの多くは前職に土建関係、建築関係の職に就いていた人が多い。中には、ホームレス生活を続けながら、日雇労働に通っている人もいる。

彼はベニヤ板などの木材を買ってきて、一から組んだという。材料費だけで20万円かかったという。もちろん高床式になっており、テレビまで設置されていたという。

「そうしたら『この家を売ってほしい』って人が現れたの。ホームレスなのかどうかはわからない。材料費(20万円)以上のお金を提示されたから売っちゃった。

それでここに引っ越してきたの。この家は2~3日で建てた。基本的には廃材を拾ってきて建てたんだよ」

と言われた。

今の家でも十分に立派だった。建物の回りには仕事で拾ってきた電化製品が山のように置かれていた。ある程度、余裕を持って場所を使えるのが河川敷のいいところだ。

河川敷の最大の欠点は定期的に水害に遭うこと

いくつかの小屋は、妙に斜めに建てられていることに気がついた。

「ここらへんは常に一定方向に風が吹くの。風が吹く方角にドアと窓を設置したら、風が抜けるんだ。真夏でもかなり涼しく過ごせるよ」

河川敷の小屋。風が吹く方角にドアと窓を設置したり、家自体を斜めに建てたりなど創意工夫がされている(筆者撮影)

先ほどの男性は語った。実際、多摩川に建つ小屋の中を拝見させてもらったことがあるが、意外なほど涼しかった。創意をこらせば快適に住めるんだなと思った。

不法占拠で建てられた家ではあるが、普通に家として生活している人も多かった。中には夫婦で暮らし、勤め先に通っている人もいた。

河川敷の最大の欠点は定期的に水害に遭うことだ。これは立地上防ぎようがない。

「小屋の半分の高さまで水が来たよ」

などと語る人は多かった。もちろん台風が来たら、大事な荷物を確保して逃げるのだが、中には逃げ遅れ被害に遭う人もいたという。

命は失わなくても家財道具のほとんどが水びたしになり、流されてしまう場合がある。

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