ホームレスの住居事情は一体どうなっているか 安心して眠る場所を確保するのに苦労がある

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もともとは「動物を守りたい」という善意からはじまったプロジェクトのようだが、そもそも河川敷の不法占拠で勝手に建てているのだから、手放しで褒めるわけにもいかない。

なんともモヤモヤした気持ちになる、答えだった。

しばらくオリはそこにあったのだが、さすがに問題になったらしく『取り壊すように』というお達しが貼られた。そして実際に取り壊されて、現在はもう施設はない。

先日久しぶりに立ち寄ってみると、現在はもう廃材も撤去されていた。しかし、動物のお墓だけは現在もあった。そしてよく見てみると、新しいお墓があった。

オリも廃材も撤去されたが、お墓は現在も残っている(筆者撮影)

河川敷では猫を飼っているホームレスが多い。亡くなった後にここに、埋葬したのかもしれない。

手を合わせてお祈りした。ただ内心、「取り壊しになった際、追い出された犬猫はどうなったんだろう?」

という疑問が残った。

皆「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」がある

ひとくくりにホームレスの住居といってもさまざまなバリエーションがあることがわかったと思う。どんな家に住んでいても、皆苦労をしている。

取材をしていると、

「一般の人にテント(小屋)を壊された」

という話をよく聞く。多くはテレビや雑誌などで

「ホームレスなのにこんなぜいたくな生活をしている」

というような報道を見て、腹を立てたと言う人が多い。もちろん、公園や河川敷に住居を建てるのは違法な点もある。

ただ、憲法では基本的人権の1つとして『健康で文化的な最低限度の生活を営む権利』が保証されている。

「電気を使っていたから腹が立って、暴力を働いた」

「生意気な家に住んでいたから、壊した」

というのは正義でもなんでもない、ただの弱い者いじめを楽しむ卑劣な暴力にすぎない。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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