ホームレスの住居事情は一体どうなっているか

安心して眠る場所を確保するのに苦労がある

公園にはしっかりした小屋を建てる人もたくさんいたが、比較的簡単に建てられるテントで暮らす人のほうが多い。とくに上野公園では、定期的にホームレスを公園から立ち退きさせる行事があったため、簡単に移動できるテントで暮らさざるをえなかった。

荷車の上にテントを張り居住空間を作っている住居は印象的だった。普段は高床になって快適に過ごせるし、いざ移動の時は荷物を全部荷車の上に載せてしまい、そのまま引っ張って移動することができる。キャンピングカーのようだなと、とても感心した。

テントを作る際は、ブルーシートがよく使われる。DIYやレジャーに利用したことがある人も多いと思うが、とても丈夫で安い。花見のシーズンなどには、レジャーで利用したブルーシートを捨てていく人も多いため、無料で手に入れられることも少なくない。

ブルーシートはテントだけでなく、小屋の周りをぐるりと貼って防水する人も多い。

かつて野宿生活をする人が多かった公園に行くと、ブルーシートの青がとても目についた。段ボールと同じ、ホームレスを象徴する商品である。

廃自動車や廃墟に住む

家をなくしたのち、マイカーに車上生活をする人がいる。最初はほんのしばらくの間だと思って住み始めたものの、なかなか正常な状態に戻れなくなってしまう場合もある。

また、道路に乗り捨ててあった自動車の中に住むケースもある。現在ではほとんど見なくなったが、かつては町中に自動車が捨てられていた。今でも山に行くと、ナンバープレートが外された自動車が乗り捨てられているのを見ることがある。

住み家となっている廃車。近隣住民にとっては不安のタネでもある(筆者撮影)

都内でアパートの前に置かれている自動車に住んでいるホームレスに話を伺ったことがある。彼はアパートの大家の許可を得て、廃車の中で生活するという珍しいケースだった。自動車の中には、みっしりと荷物やゴミが詰まっていた。いわば、ゴミ屋敷のような状態になっていた。

「隙間をなくしたら、寒くなくなるからね。拾ってきた物を車内に置いておけば、盗まれないしね。ただ最近は車内にネズミが湧いてしまったんだ。食べ物とか足とかかじられちゃったんだ。困るからネズミ捕りを置いているんだけど、まだ捕まえられない」

と嘆いていた。車内はほぼゴミ屋敷状態だったが、自動車の周りもかなり物がたくさん置かれていた。拾ってきた食器や調理器具なども置かれていた。実際調理もしているようだった。

近所の人に話を聞くと、

「大家の敷地内でやっていることなので口は出せないんですよね。でももし火事になってしまったらと思うとやっぱり不安ですね」

と語っていた。表情から察するに、かなりストレスを感じているようだった。

ほとんどのホームレスはきちんと片付けをして生活しているが、中には散らかしてしまったり、立ち小便をしたりしてしまう人もいる。本人に悪意はない場合が多いのだが、住人にストレスがたまりトラブルに発展してしまうケースもある。

次ページ都内では通報されやすい空き家、廃屋に住み着くケースも…
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