ホームレスの住居事情は一体どうなっているか 安心して眠る場所を確保するのに苦労がある

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かつては段ボールをいくつも縦に重ねて、狭い密閉空間を作りその中で寝ている人が多かった。駅前にいくつも並んでいたりする場所もあった。

しかし最近はあまり見かけなくなった。なぜなのか野宿をしていた男性に理由を聞いた。

「そういう風に段ボールにくるまって寝ていると暴力を受けやすいんだよね。酔っぱらってるサラリーマンや学生に蹴られたり、踏まれたりする。火のついた煙草を投げ込まれたりね。駅前で寝ていて一度も暴力受けたことない人はいないと思うよ」

と語った。中には大怪我をさせられたホームレスもいるという。

現在は段ボールで囲いを作り、その中に布団を敷いて寝ている人が多い。天井はあえて作らず、外から見える状態にしてある。

通行人から丸見えという状態は不安な気持ちになると思うが、完全に段ボールで囲ってしまうより暴力を受けるケースは減るし、いざ暴力を受けた際には逃げやすい。

ただ、段ボールで包まないならほとんど防寒はできないので、外で寝ているのと変わらない。寒い季節には、かなり体にこたえる。

寝袋と毛布があるとなおいい

●テント

市販のテントや、寝袋を使っている人もいる。ドヤ街の道路で、ワンタッチで建てられる便利なテントで寝ていた50代の男性に話を聞いた。

「ホームレスにならざるをえないとなった時に手元に残ってたお金でテントと寝袋を買ったんだよ。安売りしていたから、合わせて数千円だった。絶対に便利だよ。寝袋があるかないかだけでも全然違う。寝袋はいざというときのために買っておいたほうがいいよ。寝袋はある程度高いのじゃないと駄目。安いのはまったく防寒できないし、水に弱いんだ。

あとは毛布。毛布は何枚あってもいいよ。いざホームレスになってしまうと現金が入ってこないから、そういう物を買うのが本当に難しくなるんだよね」

と語ってくれた。

確かに災害などによって外で寝なければならなくなった時、寝袋があるかないかでは雲泥の差だ。人生何があるかわからない。備えのために寝袋を買っておくと、いつか「よかった」と思う日が来るかもしれない。

公園のブルーテント群(筆者撮影)

公園内で暮らしている人は、よくテントを作って生活していた。

大きな公園では樹々が生えている場所にテントを張っていた。木と木の間にロープを張り、そこにシートをかけて三角形のテントにしているものが多かった。公園内にそもそもあった遊具を使ってテントを建てている人もいた。

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