二足のわらじでパラのメダル狙う研究者の戦い 車椅子「パラバドミントン」の第一人者が語る

✎ 1〜 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 8
拡大
縮小
パラバドミントンの長島理選手(左)に、初のオリンピックへ臨む意気込みを聞いた

2020年東京パラリンピックから初めて正式競技に採用されたパラバドミントン。その国内の第一人者が、車いす部門で戦う長島理選手だ。

大手住宅設備機器メーカー「LIXIL」の研究者としての顔を併せ持つ二足のわらじで、目指すのはもちろんメダル。来年の大舞台に向け、その近況と胸中を乙武洋匡が直撃した――。

健常者時代からバドミントンを経験

乙武洋匡(以下、乙武):私は昨年の渋谷区長杯で初めてパラバドミントンを見たのですが、長島選手のように車いすの人もいれば、下肢や上肢に障がいを持つ人など、さまざまな部門に分かれているんですね。非常に奥行きのある競技だと感じました。

長島理(以下、長島):いろんな障がいがある中で、それぞれが持つ能力によって戦術が変わるのがパラバドミントンの特徴です。いい意味で障がいを知るのにうってつけな競技と言えるかもしれません。

乙武:長島選手はもともと健常者で、自動車事故によって下半身不随になってしまったそうですね。

長島:はい。大学2年生のときでした。バドミントンはもともと中学時代からやっていた競技なんです。

この連載の一覧はこちら

乙武:この連載ではこれまで多くのパラアスリートに登場していただきましたが、健常者時代から同じ競技を続けている選手というのは、意外と珍しいケースなんです。一般のバドミントンとパラバドミントンの両方を経験してみて、最も大きな違いを感じるのはどんな部分ですか?

長島:当たり前のことですが、やはりいちばんの違いは車いすを操作する技術が必要な点ですね。健常者時代は足で1歩踏み込めばよかったのですが、車いすで1メートル前進するのは大変なことですから。つまりシャトルを打つ前にもう1つ動作が必要で、体で覚えていたものがまったく通用しないことに最初はかなり戸惑いました。

乙武:なるほど、なまじ中学時代から体に染み付いている動作や技術が、かえって邪魔になってしまうことがあるんですね。

次ページ体に染み付いた感覚を払拭するのに3年かかった
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT