右上肢障害の24歳陸上選手が一段目指す高み

「パラアスリートでトップ」では満足できない

「健常者に負けたくない」と公言している芦田創選手(写真右)と一緒に(撮影:友清 哲)
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、パラリンピックを目指すパラアスリートへの注目が着々と高まる昨今。右上肢障害のパラ陸上選手として、リオデジャネイロ・パラリンピックでは立位男子リレーで銅メダルを獲得した芦田創(あしだ はじむ)選手(24歳)もまた、2年後の活躍が期待される1人です。
生まれつきひじを脱臼していた右腕は、腫瘍の影響によって機能障害を発症し、ついには医師から「治療不可能」と切断を宣告された芦田選手。ところが15歳で陸上競技を始めると、奇跡的に病状の進行がストップ。以来、リレーだけでなく、走り幅跳びで7メートル15センチの日本新記録を樹立し、世界ランク2位に上り詰めるなど、大活躍を続けています。
パラアスリートたちの競技に懸ける思いに迫る新連載。第1回は、「健常者に負けたくない」という強いモチベーションを胸にする芦田選手の現在地を、乙武洋匡が直撃します。

ハンディキャップをものともしない強靭な体幹を求めて

乙武洋匡(以下、乙武):芦田選手はかねてから、「健常者に負けたくない」と公言していますよね。実際、右上肢障害というハンディキャップを抱えながら、これほど理論的に、そして徹底的に自らを鍛え上げているアスリートはまれなのではないかと思います。現在はどんなトレーニングを行っているんですか?

本記事は新連載の1回目です

芦田創(以下、芦田):僕の場合、右腕と左腕の質量が物理的に異なるため、どうしても走る際にバランスが乱れてしまいます。記録を伸ばすには、それをどうカバーするかが問題で、この冬はコアトレーニングを徹底しました。右腕にハンデがあるのは事実ですが、胸から下に関しては健常者と変わらないレベルで鍛えられるはずなので。

乙武:コアトレーニングとはつまり、体幹トレーニングですよね。

芦田:そうです。左右のバランスの乱れをものともしない、強い体幹を作り上げるのがベストだろうと考えたんです。これは発想の転換に基づいていて、リオデジャネイロ・パラリンピック以前までは、“2軸”で走るイメージを持っていたのですが、これを“1軸”に変えていくための取り組みです。

乙武:それは具体的にはどういうことですか?

次ページ強靭な体幹が必要となったわけ
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナショックの大波紋
  • 自衛隊員も学ぶ!メンタルチューニング
  • 高城幸司の会社の歩き方
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
先陣切った米国の生産再開<br>透けるトヨタの“深謀遠慮”

米国でトヨタ自動車が約50日ぶりに5月11日から現地生産を再開しました。いち早く操業再開に踏み切った背景にあるのが、日本の国内工場と米トランプ政権への配慮。ドル箱の米国市場も国内生産も守りたい巨大グローバル企業の深謀遠慮が垣間見えます。