右上肢障害の24歳陸上選手が一段目指す高み 「パラアスリートでトップ」では満足できない

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
「健常者に負けたくない」と公言している芦田創選手(写真右)と一緒に(撮影:友清 哲)
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、パラリンピックを目指すパラアスリートへの注目が着々と高まる昨今。右上肢障害のパラ陸上選手として、リオデジャネイロ・パラリンピックでは立位男子リレーで銅メダルを獲得した芦田創(あしだ はじむ)選手(24歳)もまた、2年後の活躍が期待される1人です。
生まれつきひじを脱臼していた右腕は、腫瘍の影響によって機能障害を発症し、ついには医師から「治療不可能」と切断を宣告された芦田選手。ところが15歳で陸上競技を始めると、奇跡的に病状の進行がストップ。以来、リレーだけでなく、走り幅跳びで7メートル15センチの日本新記録を樹立し、世界ランク2位に上り詰めるなど、大活躍を続けています。
パラアスリートたちの競技に懸ける思いに迫る新連載。第1回は、「健常者に負けたくない」という強いモチベーションを胸にする芦田選手の現在地を、乙武洋匡が直撃します。

ハンディキャップをものともしない強靭な体幹を求めて

乙武洋匡(以下、乙武):芦田選手はかねてから、「健常者に負けたくない」と公言していますよね。実際、右上肢障害というハンディキャップを抱えながら、これほど理論的に、そして徹底的に自らを鍛え上げているアスリートはまれなのではないかと思います。現在はどんなトレーニングを行っているんですか?

本記事は新連載の1回目です

芦田創(以下、芦田):僕の場合、右腕と左腕の質量が物理的に異なるため、どうしても走る際にバランスが乱れてしまいます。記録を伸ばすには、それをどうカバーするかが問題で、この冬はコアトレーニングを徹底しました。右腕にハンデがあるのは事実ですが、胸から下に関しては健常者と変わらないレベルで鍛えられるはずなので。

乙武:コアトレーニングとはつまり、体幹トレーニングですよね。

芦田:そうです。左右のバランスの乱れをものともしない、強い体幹を作り上げるのがベストだろうと考えたんです。これは発想の転換に基づいていて、リオデジャネイロ・パラリンピック以前までは、“2軸”で走るイメージを持っていたのですが、これを“1軸”に変えていくための取り組みです。

乙武:それは具体的にはどういうことですか?

次ページ強靭な体幹が必要となったわけ
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事