右上肢障害の24歳陸上選手が一段目指す高み

「パラアスリートでトップ」では満足できない

僕はタレントではなくアスリートでありたい(撮影:友清 哲)

乙武:確かに、そういう意味では健常者アスリートはパラアスリートと違って、フラットにスタートできる部分がありますよね。これはパラ競技の大きな課題だと僕も思います。もちろん、パラアスリートがマイナスからのスタートとは考えていませんが、それでも背景や人物像など、アスリートとしての能力以外のところにまず目が行きがちなのは事実です。

自分で世界観を規定していかなければならない

芦田:だからこそ、結果を出したい。理想を言えば、競技で結果を出して世間から認められた後に、「そういえばこの芦田って選手、障害者だったよね。どんな人物なんだろう?」と興味を持たれるくらいがいいです。

乙武:障害者、健常者という垣根なく、1人のアスリートとして結果を出して勝負しているのだ、と。

決してパラ競技を低く見ているわけではない(撮影:友清 哲)

芦田:そうですね。2017年のデータで、健常者の男子走り幅跳びの記録に照らし合わせてみると、僕の自己ベストである7メートル15センチという記録は、国内で300位くらいに相当するんです。健常者の走り幅跳びの競技人口は数万人単位でしょうから、これは決して悪い成績ではありませんが、自分がこの競技の第一人者とはとても言えない成績です。ところがパラアスリートとしては、僕は昨年、世界で2位になっています。こちらは競技人口が100人にも満たない世界です。だからこそ、これで満足するのではなく、自分で世界観を規定していかなければならないと強く感じています。

乙武:自分の所属するカテゴリーをどこに置くか、ということですよね。私自身も幼い頃から「健常者に負けてたまるか」という気持ちで生きてきたので、その思いは理解できる部分があります。ただ、健常者と対等に勝負しようというところまで視座を高めるのは、すごく苦しいことでもあるでしょう?

芦田:はい、すごく苦しいです(笑)。

乙武:実際、パラ競技を越えて1人のアスリートとして勝負すると決意したことで、どんな心境の変化がありましたか。

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