視覚なしで戦うボール競技の知られざる世界

大人になって視力をほぼ失った彼女の戦い方

視力を失ってからの生活やゴールボールの世界について聞きます(撮影:友清 哲)
小学生のときに「網膜色素変性症」を発症し、次第に視力を失っていった小宮正江選手。大学卒業後、一度は一般企業に就職するものの、ついに両目ともに98%の視力を失い、コントラストの強いものしか判別できない状態に。しかし小宮選手はその後、視覚障害者向けの球技「ゴールボール」の世界で頭角を現し、パラアスリートとして輝かしいキャリアを築いてきました。
2004年アテネ・パラリンピックで銅メダル獲得、2008年北京・パラリンピック出場、2012年ロンドン・パラリンピックで金メダル獲得、2016年リオデジャネイロ・パラリンピック5位――まさしく世界のトップ戦線でプレーし続けてきた小宮選手。
視力を失ってからの生活や、一般的にはあまり知られていないゴールボールの世界について、乙武洋匡が直撃します。

声の方向、角度から相手の位置を知る

小宮正江(以下、小宮):学生時代に読んだ乙武さんの『五体不満足』は、すごく心に残っている1冊で、まさかこうしてお話させていただく機会があるとは思っていませんでした。乙武さんは今も車椅子に乗っていらっしゃるんですよね?

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乙武洋匡(以下、乙武):ええ、ただ普通の車椅子とは少し違っていて、座面の高さを電動で昇降させることができるんです。いちばん高く合わせると、おおよそ身長170センチくらいの人と同じ目線になります。

小宮:あ、なるほど! だから少し上から声が降ってくるんですね。納得しました。

乙武:そうか、小宮さんは声の角度や方向から、話し相手の位置やご自分との距離感を測っているんですね。だから、下から聞こえてくると思っていた私の声が、思っていたよりも上から響いてきて驚かれた。

声の角度や方向から、話し相手の位置を測っている(撮影:友清 哲)

小宮:私は相手との距離もそうですし、歩くときの周囲の状況も自分では確認できないので、自分の耳やサポートの人に頼らざるをえません。

その点、今日この部屋に案内いただく際も、乙武さんが廊下やエレベータの状況などをすごくわかりやすく説明してくれたので、歩きやすかったです。やはり、情報を伝えるのがお上手ですよね。

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