全力で走れる最先端「義足」が健常者を救う日 花形「100メートル走」で健常者を抜く時代へ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
「ギソク」が将来、われわれの生活を変えるかもしれません(撮影:尾形文繁)

ピョンチャンパラリンピックが盛況のうちに終わった。今年は民放のテレビ局でも競技の様子や選手についての特集が組まれるなど、人々の関心を持たせる取り組みが目立った。

そんな中、メダル一番乗りとなったのはアルペンスキー女子滑降座位の村岡桃佳選手。“雪上のF1”の異名を持つこの競技では、今年からトヨタ自動車がマシーンの開発に乗り出した。男子チェアスキー座位で5種目全てに参加した森井大輝選手のマシーンがそれである。

以前から村岡、森井両選手のマシーン開発にかかわる株式会社RDS専務取締役でデザイナーの杉原行里氏は「ここ数年、パラスポーツに対する視線が変わってきている」と話す。

もともと、障害者のリハビリとしてはじまったパラスポーツが、競技性を強め、パラリンピックでは純粋に選手自身の身体能力、限界への挑戦を見るものへと昇華しているというのだ。競技用プロダクトの開発は「F1と同じだ」とうたう競技用義足の会社を訪ねてみた。

走ることを知らない義足ユーザーも多い

渋谷区の株式会社Xiborg(サイボーグ)は競技用義足とロボット義足の開発を手掛けている。昨年10月に豊洲に「ギソクの図書館」をオープン。義足ユーザーが競技用義足を気軽に装着して走る体験をできるようにした。

「義足」という言葉が持つイメージや固定概念を取り払うため、「ギソク」とカタカナを使っている(撮影:尾形文繁)

「走ることは『特別な人だけができること』と思っている下腿障害者の方が多いです」と話すのは、同社代表の遠藤謙氏。義足開発を始めたのは、病気により脚を切断した友人を助けたいとの思いからだった。遠藤氏はアメリカ、マサチューセッツ工科大学においてバイオニック義足で有名なヒュー・ハー教授に師事。身体能力の解析と下腿義足開発の研究を積み帰国、日本での義足開発に取り組み始めた。

次ページ欧米と比べてマーケットの小さい日本
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事