国枝慎吾世界一の裏に丸山流「コーチング術」 車いすテニスのジュニア選手向けイベントも
テニスファンにとって待ちに待ったシーズンがやってきた。1月28日、メルボルンで決勝を行った4大大会初戦の全豪オープン・男子シングルスでロジャー・フェデラー(スイス)が優勝。大会連覇とともに、グランドスラム通算20勝を挙げた36歳のベテランは、2017年シーズン序盤のケガと長期休養を乗り越え手にした勝利に感極まり、表彰式で男泣きした。
全豪オープンではもう1人、右肘手術による低迷からの復活で歓喜の涙を流した男がいた。2015年9月の全米オープン以来、実に2年4カ月ぶりのグランドスラム優勝を果たした、車いすテニスの国枝慎吾(ユニクロ)だ。
現在33歳の国枝はグランドスラム男子シングルスで通算21勝(ダブルス通算20勝)という歴代トップの記録を持つ。
また、障がい者スポーツ大会の最高峰であるパラリンピックではシングルスで2個、ダブルスで1個の金メダルを獲得。全豪オープンを終えた最新の世界ランクは3位だが、2006年から2015年までは世界ランク1位が指定席だった。
そんな国枝を17歳の頃から指導し、世界一へと押し上げたのがテニスコーチの丸山弘道だ。
自身もかつてはプレーヤーでジュニア時代は全日本ランク10位、インカレにも出場するほどの実力者だった。大学卒業後は民間企業に就職し、4年間の勤務を経て実家のある千葉県柏市へ戻った。
そこからテニスの経験を生かし、国枝が競技を始めた11歳の頃から練習拠点にしている吉田記念テニス研修センター(TTC)に再就職。以来、コーチとして健常者テニスのジュニア育成を経て、1999年から車いすテニスの指導にあたっている。
念願だったジュニア育成に本格着手
丸山は国枝慎吾という偉大な世界チャンピオンを育てた経験を、次代を担うジュニア世代の育成に注ぎたいとかねて切望していた。しかし、テニススクール時代はあくまでも一社員。国枝の海外遠征や国枝以外の選手指導、さらには部下をまとめる仕事などが山積し、時間的にも労力的にも余裕がなかった。
しかも、丸山には「自分の特色を打ち出したい」という強い希望があった。そのため2014年に独立。株式会社「オフィス丸山弘道」を設立し、引き続き国枝ともう一人、トッププレーヤーの三木拓也(世界ランク11位)のプライベートレッスンを主な業務としながら、翌年には一般社団法人「道夢」も設立。自社主催のジュニア向けテニスイベントを開くようになった。
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