国枝慎吾世界一の裏に丸山流「コーチング術」 車いすテニスのジュニア選手向けイベントも

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考えたことは行動に移さなければ意味がない。そこで丸山は選手にテニスでも日常生活でもクイックレスポンス(素早い反応)を求める。そうすることで次の思考と行動を起こさせるようにしているのだ。「テニスではレスポンスがすごく大事。国枝や三木との会話や彼らの行動すべてにおいてスピードを求めています」と丸山。日頃の生活はテニスにも出るという。

さらに、「何事も段取りが9割、残りの1割は対応力」とも。試合当日はどんなアクシデントがあるかわからない。そんな時でも、余裕を持って対処し落ち着いて試合に臨むには、事前の準備がいかに出来ているかにかかっていると考える。

「国枝も1試合に1本、出るか出ないかのショットもおろそかにせず、しっかり練習します。それは何が起こるかわからないから。私がテニスの指導や他の仕事で感じるのは、世の中、準備不足で行き当たりばったりの人がいかに多いかということ。私も決して完璧ではありませんが、常に危機感を持っていて、準備をしっかりすることを心がけています」

大人でも耳の痛い話だが、自分にも他人にも厳しい丸山は、「生意気な言い方かもしれないけれど、それがプロ」ときっぱり言ってのける。世界の頂点に上り詰めた国枝もこうして鍛えられてきたのだ。

世界王者の国枝が子どもたちに明かした強さの秘密

その国枝もキャンプ最終日の夜に開かれた自身の特別セミナーで、子どもたちから寄せられる質問に対し、強さの秘密を惜しみなく披露。「練習前は『今日のプラン』をノートにまとめ、練習の目的を明確にしてコートに入る」「試合の大事な場面でポイント確率の高いプレーを選択するには、自分の得意なプレーとそうでないプレーを理解し整理しておく」「試合中はどんな時でも常に冷静に、何が起きているのかを分析している」「目標設定はできるだけ細かく具体的に」などと語った。

集まったジュニア選手からの質問に真摯に答える国枝選手(筆者撮影)

とりわけ、思ったことを的確に言語化し伝えるというのは丸山が重視していることでもあり、国枝いわく「例えばフォアハンドがうまくなりたければ、そこから一歩踏み込み、フォアハンドのクロスの角度あるショットが打てるようになりたいとか、相手をコートの外へ追い出すもっとスピンのかかったショットが打てるようになりたいと表現することが大事」と説明。

世界王者の説得力ある一言一句を聞き漏らすまいと、子どもたちは終始、真剣な眼差しを向けていた。

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