国枝慎吾世界一の裏に丸山流「コーチング術」

車いすテニスのジュニア選手向けイベントも

ちなみにセミナーというと、講師が一方的に話した後で最後に質疑応答というパターンが多いが、国枝のセミナーは最初から最後まで子どもたちが自発的に質問する形式が取られた。これも自分で考え行動することの大切さを教える丸山のアイデアである。

丸山コーチの活動を企業がサポートする理由

「車いすテニスジュニアチャレンジキャンプ」終了の翌日からは同会場で、第3回を迎えた「ドリームカップ車いす選抜ジュニアチーム戦」が2日間にわたって開かれた。そこにはキャンプに参加した12人に、さらに12人の小中学生が合流。東日本チームと西日本チームに分かれて団体戦に臨んだ。

キャンプにもチーム戦にも、それぞれ特別協賛企業がついている。キャンプは通信大手の「NTTコミュニケーションズ」、チーム戦の方は国内保険会社大手の「日本生命保険」(以下、日本生命)だ。

実際の試合風景(筆者撮影)

2020年の東京パラリンピック開催が決まって以来、障がい者スポーツを支援する企業は増加傾向にある。しかし、その多くはすでに実績のあるトップ選手やチーム、つまり2020年の活躍を見込んでのもので、そこに間に合わないであろう小中学生中心の育成事業を支援するというのは珍しい。

その目的について、3年連続でチーム戦に協賛金を出す日本生命のオリンピック・パラリンピック推進部東京2020推進担当課長の荻野祥太さんに話を聞くことができた。

「一番の理由は、生命保険=お客さまの人生を支えるという点と、スポーツ=アスリートを周りの人が支えるという点に親和性を見出しているからです。特に障がい者スポーツは健常者スポーツ以上に、周囲のサポートがより必要。それがお子さんともなればなおさらです。そこで弊社では車いすテニスでトッププレーヤーを夢見る親子の皆さんを応援しています」

日本生命では他にも2017年度から「日本車いすバスケットボール連盟」のオフィシャルパートナーとして協賛を始めるなど、障がい者スポーツのサポートに力を入れている。

男子では国枝、女子でも現在23歳で最年少年間グランドスラムやリオパラリンピックのシングルス銅メダルを持つ上地結衣(エイベックス)らスター選手の誕生や、2020東京パラリンピックの開催決定などが、車いすテニスの認知度アップと競技普及の追い風となっている。

また、2009年から健常者テニスのグランドスラムと車いすテニスのグランドスラムが一緒に行われるようになったことも、車いすテニスのステータスを上げる大きな要因となった。丸山も「パラリンピック以外にグランドスラムという檜舞台があることで、車いすテニスは他の障がい者スポーツ競技に比べ自立の道が開かれていると思う」と話す。

その丸山が今、急務と考えるのが指導者の育成だ。実際、丸山のもとには車いすテニスと身体障がいの専門知識を身につけ指導に情熱を注ぎたいという若いコーチたちが集まり、今回のジュニアキャンプやチーム戦にも参加した。指導環境の整備は一筋縄ではないが、「それも自分の仕事」と言う丸山。多忙な日々に終わりはない。

(文中敬称略)

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