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ワンカップで作ったかまど(写真)で自炊する人がいるように、ホームレスは普段、何を食べているのだろうか(筆者撮影)
ホームレス。いわゆる路上生活をしている人たちを指す言葉だ。貧富の格差が広がる先進国において、最貧困層と言ってもいい。厚生労働省の調査によると日本のホームレスは年々減少傾向にあるものの、2018年1月時点で4977人(うち女性は177人)もいる。そんなホームレスたちがなぜ路上生活をするようになったのか。その胸の内とは何か。ホームレスを長年取材してきた筆者がルポでその実態に迫る連載の第8回。
ホームレスはどうやって食べているのか
読者からよく「ホームレスの人たちって何を食べて、生活してらっしゃるんですか?」と質問される。
多くは興味本位からだが、もしも災害にあったときの参考にしたいという人もいた。
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「ハトやネズミを捕まえて食べるんですか?」
と真顔で聞かれたこともあった。もちろん、そんな人に出会ったことはない。
●自給自足のケース
ただ、自給自足で食材を手に入れている人は少数だがいた。
5年ほど前、大阪の淀川の河川敷沿いに小屋を建てて、そこで貝を集めている人がいた。当時、70歳前後の男性だった。
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砂を吐かせるためにシジミをザルに移す様子(筆者撮影)
まだ寒い季節だったのだが、男性はザブザブと川に入ってザルで貝を集めていた。
「何がとれるんですか~?」
と聞いてみると、
「シジミだよ」
と言われた。
「本当はこんな寒い日はシジミはとらないんだけどな。欲しいっていう人がいたからね、とっていたんだよ」
男性は川から上がると、捕まえたばかりの貝を水につけて、砂を抜き始めた。シジミは捕まえた後に、しっかりと砂を吐かせないとダメだという。
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